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日曜日は結局そのまま明け方近くまで飲み明かし、朝にいつものアラームで飛び起きる事になったが、あ、もう起きなくてもいいんだ…と思い二度寝していたがいい匂いで目が覚める事になった。
先に起きていた景光くんが食事を用意してくれていたようだ。
「あ、おはようなまえちゃん」
「…おはようございま
グゥ〜〜〜
「ふふっ。ご飯用意したけど、食べる?」
「…いただきます。顔洗ってきますね」
余っていた卵と食パンで作られたフレンチトーストに野菜スープ。野菜なんて冷蔵庫にあっただろうか。そんな事を考えていると顔に出ていたのか景光くんが笑いながら教えてくれた。
「手をつけてないのがあったからスープにアレンジしてみたんだ。飲んだ後ならそのままよりスープの方が良いかと思って」
「アレンジ…すごい…ホテルの朝食みたいです」
「買い被りすぎだよ…それになまえちゃんも元々は料理してただろう?」
トマト缶とかコンソメとか調味料類は揃ってたし、と言いながら食べ終わると食洗機にセットして、珈琲まで出してくれた。
「ありがとうございます…」
「…抽出型のがあったから」
「……あ!そういえば」
一時期珈琲にハマったものの、イチから器具を用意したとしても淹れるのが面倒になると思って一杯分だけ抽出出来るワンドリップコーヒーを買っていたのを思い出した。しかし忙しさからそれすらも面倒になり缶珈琲ばかり買っていたがこんなに美味しければ面倒臭がらずにもっと使えばよかったかな、とは思うものの自分が淹れた時よりも確実に美味しく感じるそれに疑問が浮かぶ。ワンドリップタイプでも淹れる人によってここまで変わるものなのだろうか。思わず同じ珈琲を飲む景光くんを見つめてしまう。
「…美味しくなかった?」
「いや、逆に美味しかったので何が違うのかなぁと思って…」
「蒸らし時間を少し長くしただけだよ」
「蒸らし…?」
景光くんによるとワンドリップタイプでも蒸らしが美味しく頂けるポイントらしく、その蒸らし時間を長めにすると渋味と苦味が強く感じられるようになり、私の好みに合わせてみたとの事。
「なまえちゃんはこっちの方が好きかと思ったんだけど…違った?」
「…違わないですけど、珈琲の好みなんか言いましたっけ…?」
なんとなく、と言った景光くんはそれ以上は教えてくれなかったが、何だか嬉しそうな、そして少し懐かしそうな表情をしていたのでなんだかそれ以上は問いただせなかった。
朝食兼昼食を済ませ、そういえば掃除機かけてなかったなと思い出し洗濯機をセットしてから掃除機をかける。自分がやると言う景光くんに、食事だけで十分だしやるのであれば今日は講習だと思って見ていてくれ、と伝えた。が、講習てなんだ、お屋敷でもあるまいしフツーに洗濯機回して掃除機をかけるだけである。景光くんには不要だっただろう。しかし彼は大人しく洗濯機の手順を見て、掃除中も邪魔にならない場所に移動しつつ静かに見守ってくれていた。
二階は景光くんが掃除してくれる事になり、洗濯が終了した音に動かされ乾燥機へと移し家事は一旦終了となる。
「2階、ありがとうございました」
「とんでもない。にしてもスティック型の掃除機ってすごい便利だな」
「コードあるやつだと出すのもしまうのも億劫で掃除機する事自体が面倒になっちゃって」
「はは、わかる。コンセント差し替えるのも面倒だしね」
ガラステーブルを囲み一服しながら話していると来訪を知らせるピンポーン、と少し間伸びした音が響く。
少し身構えた様子の景光くんに、しまった。前もって伝えておいた方が良かったか、と思いながら荷物が届いたと思うので出てきますね、と告げ玄関へ向かう。
配達業者の人に玄関先まで入れてはもらったものの、さすがにひとりで運ぶのは少し手間がかかりそうだ。まぁ出来なくはないので、よし、やるか、と腕まくりをして段ボールを少しずつ動かそうとしたところで、思い直す。組み立てが必要な物でもないし、先に段ボールから出して運んだ方が早くないか?リビングで開封したところで結局段ボールは解体して玄関先に置いておく訳だし…。ならばと、段ボールはそのままにリビングへと戻る事にした。
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