「何してんの、バカ犬」
「幸チャン!?」
「真緒?寝てんの?」
「そうみたいっス。俺っちが来た時にはもうぐっすりで」
「この男所帯でよく寝れるな…」
片手にノート、もう片手にペンを持ち、ソファに座ったまますうすうと寝息を立てる真緒を見て太一が笑う。呆れながらも真緒の手からノートとペンを抜き取り、談話室に置いてあるタオルケットをかけてやる幸。
「あ、笑ってるっスよ」
「呑気な顔…」
「何やってんだ?」
「あ、天チャン!見て見て、真緒チャン寝ちゃったんスよ」
「珍しいな、ここで寝落ちしてるの」
「最近遅くまで作曲やってたから疲れてるんでしょ」
「作曲ってすごいっスよね!俺っち絶対できないっスよ」
「まあ、誰にでもできるものじゃないな」
「ポンコツ役者が人を褒めるなんて、明日は槍でも降るんじゃない?」
「俺だって褒める時は褒めるんだよ」
「んぅ…ん、?」
近くで話す3人の声に反応したのか真緒が小さく身じろいでうっすら目を開ける。ぼんやりと3人を見る目はまだ寝ているようにも見えて。
「あ、起きた」
「ん、ん…」
「寝たっスね」
「寝たな」
「ん、ぅ…すぅ…」
3人を見て、少しぼうっとした後、もぞもぞとタオルケットに潜り込んでもう1度眠りについた真緒を見て3人が顔を見合わせて笑う。
「なんか嬉しいっス!」
「?何がだよ」
「こうやって俺っち達の前で寝るくらい信頼してくれてるってことが嬉しいっス」
「確かにね。前の真緒だったら絶対寝てないだろうし」
「た、いち…」
「俺っちの夢見てる!」
「たい、ち…おすわり…」
「…ぷっ、あははっ!どんな夢見てるのさ!」
「太一、おすわりだとよ」
「ひどっ!?どんな夢見てるんスか〜!」
2017/08/12 執筆