目が眩んだ

※R15くらい…たぶん…

〜〜〜

どうしてこうなったのか。ふと、意識が戻った時にはこの状態だった。この状態、といっても全く伝わっていないだろうが、私自身も何故こうなっているのか、何が起きているのか全く理解が追いついていない…。ので、ちょっと状況を整理させてほしい。

「ふ、るはし…?」
「なんだ?」
「えっと…この状況は…?」
「見たら分かるだろう」

目の前には古橋。背中には壁。両手は古橋の手によって壁に縫い付けられている。つまるところ、壁ドンという状態になっている訳だ。多分…きっと…あっている、はずだ。今の状況については理解出来た。ただ、一番大事な問題が解決できていない。何故、こんなことになっているんだ。

「葉月」
「な、なに…!」
「なんでそんなガチガチなんだ」
「いや、だって…っ!?」

いつもと表情が変わらないように見えるけれど薄らと熱を孕んだ目でこちらを見る古橋の雰囲気がどうにも慣れなくて目を逸らしてしまう。それを咎めるように名前を呼ばれて反射的に返事をする。緊張しっぱなしの私を見てふ、と表情を緩めた古橋の顔がずい、と近づく。

「え、ま、っ…ひぅ、っ」
「首、弱いのか」
「な、なにしっ…ゃ…っ!」

ぬるり、首筋を古橋の舌が這って声が上擦る。両手は押さえられているし、足の間に古橋の足が割り込んでいて反撃の余地がない。唇を噛んで声が出ないように必死に耐えるけれど、かぷりと歯を立てられて肩が震える。

「葉月」
「なによ、」
「可愛い」
「は、?なにいっ…んぅ、っ」

首への刺激が止んで、古橋の体が離れる。名前を呼ばれて顔を上げれば緩んだ古橋の顔。私が言葉を紡ぐ間もなく今度はキスの嵐。口内を蹂躙する舌から逃げようと舌を引っ込めれば巧みに引っ張り出される。

「んっ…ふ、ぁ…っ、」
「葉月」
「ちょ、…ね、まって…!」

生理的に滲んだ涙が零れ落ちる。唇が離れて、息も絶え絶えの私に対して古橋は息一つ乱れてない。こればっかりは運動部とマネージャーの違いだけでは済まされない。何なんだ、この差は。

再度、優しい声で名前を呼ばれてするりとお腹を撫でられる。いつの間にか服の中に入ってきていた古橋の手が私の肌を撫でる。このままじゃまずい、と声を上げた瞬間、ぐらりと景色が回って背中に痛みが走る。

「ったぁ…」

背中を擦りながら起き上がるといつも通りの自分の部屋。どうやらベッドから落ちたようで、ベッドの下に寝転がっていた。ゆっくり起き上がって充電中のスマートフォンを見れば時刻は朝の4時半。いつも起きてる時間よりもかなり早い。

「なんて夢見てんだ…」

二度寝をしようにも頭の中を埋め尽くすのはさっきの夢の映像。熱を帯びた古橋の目が頭から離れなくて、寝付けない。何度もベッドの上で寝返りを打つけれど一向に眠気は訪れず、がばりと起き上がる。

「寝れるわけないじゃん…」

夢のはずなのに感覚が鮮明に残っている。自然と手が唇を触っていて、それに気づいてまた顔が赤くなる。二度寝は諦めて、普段起きてる時間まで勉強でもしようと机に向かう。ノートを広げてみても頭の中は夢の内容でいっぱいで、何度も頭を振った。

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