ぼうっと目の前で行われる会話を眺めていると拘束を解かれた男の子の手のひらが大きな音を立てて爆発した。感覚が狂ってしまったのか特に驚くこともなければ怖いと思うこともなかった。だって、自分に殺意が向けられる恐怖も、自分の手で誰かを殺めることの恐怖も味わった。
「どうもー!ピザーラ神野店でーす!」
その一瞬だった。突然扉の外からかけられた声に全員の動きが止まって、気づいた時には体が木の枝のようなもので拘束されていた。ヒーロー達がたくさんいて、助けに来てくれたのかと期待をした。
でも、違った。私じゃなかった。私はきっと、今、敵だと思われてる。
なんで、どうして。私だって、辛くて、苦しくて、怖かったのに。どうして、どうしてその子には優しい言葉をかけるの。
頭の中で色んな感情が入り混じって、嗚咽が漏れる。涙が止まらない。苦しい。
あの日、助けてほしくて伸ばした手は誰にも届かなかった。
今はもう、助けてと手を伸ばす事すら許してもらえない。なんで、どうして。
ヒーローは困ってる人を助けるのが仕事なんでしょ。ねえ、じゃあ、助けてよ。
「も…やだ、」
私がそう呟いた時、彼も何かを叫んでいた。その瞬間、口の中に広がった不思議な感覚と込み上げてくる吐き気。口からどろりと零れたそれが体を包んで次に視界が開けたときには瓦礫の中に座り込んでいた。
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