※ちょこっと背後注意※
ひやりと肌に触れた風に、ゆっくりと目を開ける。隣で寝ていたはずのサンジくんがいなくなっている事に気がついてきょろきょろと辺りを見回す。
すぐに少し離れた窓際でタバコを吸っている彼を見つけて、ホッとしながらベッドにもう一度横になる。
タバコを咥えていた口がすぼめられて、ふわりと煙が夜空に溶ける。それを何度か繰り返して、時折空を見上げて月明かりに目を細める彼の横顔にドキリと心臓が跳ねる。
「あ、ごめんね。起こしちまったかな?」
「ううん。大丈夫」
「まだ起きるには早いし、寝てていいよ」
「うん。もうちょっとサンジくんの横顔眺めてから寝る」
「ははっ、それは光栄だな」
ぱちりと視線が交わって、私を見つめた彼が笑う。布団で口元を覆ってクスクスと笑えば彼は肩を竦めてからもう一度タバコに口をつけた。
それから少しして、短くなったタバコを灰皿に入れて戻ってきた彼は私の隣に横になる。後ろから抱きしめられて、首筋に唇が触れた。
「なあに?」
「もう一回、って言ったらどうする?」
「…えっち」
「男は皆えっちだって、教えただろ?」
耳元で囁く低い声が脳を溶かす。ちゅ、ちゅ、と何度も首筋に落とされるキスに身を委ねて目を閉じる。
ふ、と気付いた時には外は明るくなり始めていた。
隣では彼がすうすうと寝息を立てていて、いつもよりも幼い顔に頬が緩む。ベッドサイドに置かれていた水を飲もうと、左手を伸ばしてはたと気づく。
薬指にキラリと光った指輪に驚いて震えた指先からボトルが落ちた。床に零れた水も、落としたボトルも気にならない。
ぱたぱたと落ちた涙がシーツを濡らす。押し殺せなかった嗚咽に睫毛を震わせた彼が目を開けて、私の名前を呼ぶ。
「さん、っじ…くんっ…」
「気に入ってくれた?」
「うん…っ、!うんっ、…!」
起き上がってすぐに私が泣いている理由に気付いた彼が悪戯っ子のように笑って私の肩を抱き寄せる。
彼の首に腕を回してぎゅうぎゅう抱きつけば、彼は嬉しそうに声を上げて笑う。泣きじゃくる私から少しだけ体を離して、頬を両手で包み込んだ彼が困ったように眉を下げる。
「泣くほど喜んでくれるのは嬉しいけど、そんなに泣かれるとどうしたらいいか分からなくなっちまう」
「だ、って…っ、だって…さんじくんが…っ、…ばかっ、!」
拭っても、拭っても零れてくる大粒の涙を彼の指先が掬いとる。いつもの彼なら涙を流す私を見て狼狽えるけれど、今回ばかりは嬉しそうに微笑んでいて。
あやす様に額、目尻、鼻、と順にキスが落とされて、私の唇と重なる。
「大好きだよ。愛してる。この世界中の、誰よりも君だけを愛してる。俺が名前ちゃんを世界で一番幸せにすると誓うよ。だから、俺と結婚して下さい」
「〜っ、私でいいの…?」
「名前ちゃんがいいんじゃない、名前ちゃんじゃなきゃダメなんだ。俺は、名前ちゃんがいなきゃダメになっちまう。だから、イェスの返事を聞かせてくれないかい?」
「…っ、あたりまえじゃない…!ばかっ、!」
額を合わせて私の顔を覗き込む彼にまた涙が零れる。
今度は私が、彼の頬を両手で包み込んでキスをする。ああ、もう。幸せすぎて死んでしまいそう。
左手が彼の手に包まれて、指が絡められる。もう片方の手が後頭部に回って、徐々にキスが深くなる。
口を離して、私の顔をじっと見つめた彼がくしゃりと笑ってキツく私を抱きしめた。
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