私はお高い女の子

※胸糞表現有※
※ウソップもいるよ※

上陸した島で偶然見つけた路地裏の酒場。

店主のおじさんはとっても気前のいい人で、たまたま船に残っていたサンジくんとウソップを連れて私はその酒場に来ていた。

「おや、嬢ちゃん。今日は男連れかい?」
「そ!私のボディーガード!」
「ははっ、そりゃァ安心だなァ!今日はどうする?」
「昨日と同じのがいい!」

カラカラと笑ってカウンター席を用意してくれたおじさんにお礼を言って席に着く。

隣に腰掛けたサンジくんとウソップも気前の良いおじさんと仲良くなるのはあっという間ですぐに楽しそうにお酒を飲み始めた。四人で和気あいあいと美味しいお酒を楽しむこと数十分。

突然やって来たガラの悪い集団によって店内は一気にうるさくなった。あまりの煩さに苦笑いを零せば、おじさんが申し訳なさそうに眉を下げる。

「すまないね」
「おっさんが謝ることじゃねェよ!気にすんなって!」
「ウソップの言う通りだな。むしろ気を遣わせちまって悪ィな」
「そうそう!ね、おじさん!私、今度は違うの飲みたい!」

私達の言葉にホッとしたようにおじさんが笑って一杯サービスだ、と先程まで飲んでいた物と同じ物をくれた。

そんなことされたら島に滞在している間ずっと通っちゃうなぁ、なんて言ってクスクス笑っていれば背後からじろじろと視線を感じ始める。小声で何かを話す声と突き刺さるような視線に、サンジくんが眉間にシワを寄せた。

「サンジくん睨まないの」
「だってアイツら…!」
「別にちょっかいかけられてる訳じゃないもん。放っておこうよ」
「そ、そうだぞ!もし喧嘩にでもなったらどうすんだよ!」

店の中に唯一いる女である私を舐めるように見つめる視線にサンジくんが立ち上がろうとするのを引き止める。

男達と揉め事を起こすのが嫌なウソップも一緒になって止めてくれたお陰でサンジくんが不満げにしつつも座り直す。

おじさんも入れて四人でまた楽しくお酒を飲んでいれば、店内のテーブル席に座っていた男達が私達に聞こえるような大声で話し始める。

「おいおい!俺らのテーブルには華がねェなァ!」
「ハッハッハッ!違ェねェ!」
「俺らに酌してくれんなら礼でもくれてやるのによ!」
「ギャハハハ!よく言うぜ!どうせ体で払ってやるとか言うんだろ?」
「それもいいな!あんだけ上玉なら当分楽しめるぜ!」

下品な笑い声で下衆な話をする男達の視線は間違いなく私に向いていて。遠回しに自分達の所に来てお酌をしろと言っているようだ。

どうしたもんかなぁ、と考えを巡らせようとしてふと隣の二人が静か過ぎることに気が付く。ちらりと二人に視線を向けて、驚いた。

「二人共、顔怖いよ…」
「あんのクソ共…!三枚に下ろしてやる…!」
「ちょ、ちょっと…!サンジくん!待って待って!ウソップも見てないで止めてよ!」
「こればっかりは俺も止めねぇぞ。クルーをバカにされて黙ってられるか!」
「もぉー!こういう時だけ頼もしくならないでよ!」

ガタガタっと音を立てて立ち上がった二人が男達をギロリと睨みつける。私の為に怒ってくれるのは嬉しいけれど、今揉め事を起こすのは勘弁したい。

だってナミに怒られる…!それに、直接何かをされた訳じゃないのだから怒る必要なんてどこにも無い。

「や、め、ろ!」
「いっ…!?テッメ、何すんだよ!」
「な、なんで…!?」
「止めなさいって言ってるでしょ!もう!」

今にも男達とドンパチ始めてしまいそうな二人の後頭部を思い切り引っ叩けば、バチーンといい音がして二人が蹲る。

頭を押さえながら私を見上げる二人を見下ろして怒れば、二人がぐっと押し黙る。

「なんだァ?女に殴られて大人しくなるような腰抜け共かよ!そんな奴ら放って俺らと一緒に飲めばいいじゃねェか!」
「お願いします一緒に飲ませてくださいって頭下げて可愛くオネダリ出来たらイイ事もしてやるぜ?」
「ギャハハハ!そりゃテメェの願望だろ!」

私に怒られて大人しくなった二人を見て、更に下品な笑い声を上げる男達にため息をついて背を向ける。何事も無かったかのように自分のグラスに口をつけておじさんに話しかければ、男達の怒号が飛んでくる。

「テメェ…!シカトたァ、いい度胸じゃねェか!」
「なぁに?私に声掛けてたの?」
「たりめェだろ!!テメェ以外に女がどこにいんだよ!!」
「あら、お猿さんがギャアギャア騒いでる声しか聞こえなかったから…まさか私に言ってるなんて思わなかったの。気づいてあげられなくて、ごめんなさいね?」

チラリと男達に視線を向ければ顔を憤怒の色に染めていて、堪らず鼻で笑ってしまう。クスクスと嘲笑うように男達を見れば、男達の顔は益々赤くなる。

「未来の海賊王のクルーを誘うなら、もう少し魅力的な誘い方してくれる?それから…アンタら如きが払えるはした金で私が買えるなんて思わないで。こう見えても私、高いのよ?」

グラスの中身を飲み干して、ポカンとした顔でこちらを見つめるウソップとサンジくんの腕を掴んで店の外へと足を向ける。

男達の間を歩きだせば怒りに任せて男達が襲いかかってくる。けれど、私への攻撃をボディーガード達が許す訳がなくて。

「レディに手上げるたァ、躾がなってねェな」
「やーっぱりこうなるんじゃねェか!ナミに怒られても知らねェからな!」
「あっ…そうだった…とりあえず…全員倒して縛り上げとこう。んで、その後の事は後で考えよう」

ナミに怒られたくないから大人しくしようと思っていたのに、ウソップやサンジくんをバカにされてカッとなって煽ってしまったことに思わず頭を抱える。

とりあえずは、バレないようにこの場だけで騒ぎを抑えよう。ぐっと両手を握りしめて頑張って、と二人に言えば正反対の答えが返ってくるものだから私は苦笑いを零すしかなかった。

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