おひめさまはしろくまさま

上陸したのは雪が降る冬島。

窓から外を眺めていた名前はぴょんぴょんと飛び跳ねて久しぶりの雪に興奮を示した。今すぐにでも飛び出しそうな名前にクルー達はみんな苦笑い。

「ゆき!さっち!ゆきー!」
「お、降ってんなァ。ちゃんと暖かくしてから上陸しような」
「じょうりく!する!」

いつも島に降りる前はナース達にお着替えしてもらっている名前はサッチの言葉に目をキラキラと輝かせて「おねえちゃあああん!」と走り出す。

その背中をサッチやクルー達が笑いながら見送る。少しして全身を真っ白いもこもこに覆われた名前が甲板に姿を表す。

シロクマをモチーフにした洋服は耳としっぽが付いており、同じように真っ白のもこもこ手袋を身につければあっという間に小さなシロクマの出来上がりだ。

「姫〜〜!!可愛いぞ〜〜!!」
「えへへ〜、わたしかわいい?」
「世界一可愛いぞ〜!」
「くふふっ、まあね!」
「どこでそんなおませな言葉覚えたの!けしからん!可愛すぎの罪で逮捕する!」
「きゃあ〜!」

サッチに抱き上げられてぎゅうぎゅうと抱きしめられている名前は小さな手で口を隠して嬉しそうに笑う。

名前を抱き上げたままクルクルとその場で回るサッチと楽しそうに声を上げて笑う名前を見て、その場にいたクルー全員の頬が緩んだ。

「さっち、あのね、きょう、わたしとでーとしよー?」
「ぐっ…!誰だ…!こんな可愛いこと教えたのは…!」
「?おねーちゃんがね、さっちたいちょーにはこういうのよっていってた」
「〜〜っ!ありがとうございます!」

そろそろ自分も上陸の準備をしようかとサッチが抱えていた小さな体を降ろそうとすると、名前がサッチの頬を小さな手で包む。

どうした?と首を傾げるサッチに思い出すように一言ずつ、ゆっくり言葉を紡ぐ名前にサッチがぽかんと口を開ける。すぐに顔を逸らして大きく息を吐くサッチに名前はキョトンとした顔で首を傾げる。

「さっちー、でーと、する?」
「する!今準備してくるから、ちょっと待ってろよ!」
「あい!まってる!」

固まったまま動かなくなったサッチにもう一度首を傾げた名前をすぐにその場に降ろして、サッチがびしりと敬礼をする。

真似するように手をおでこに当てて元気よく返事をする名前にまた、サッチが胸を抑えて蹲ったのは言うまでもない。

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