おともだちをしょうかいします

「しゃんくすうううう!」
「おっ!来たな!チビ助!」
「ちびすけじゃないもん!ひめだもん!」
「だーっはっはっはっ!相変わらずマセガキだなァ!」

ふらりとモビーディック号にやってくる四皇の一人、シャンクスは勿論名前とも交流があった。

初めこそ過保護なお兄ちゃん達が会わせないようにあれやこれやと手を回していたが、絶対に会わないなんてことが出来るはずもない。

元々シャンクスが子供の扱いが上手だったこともあって名前は簡単にシャンクスに懐いてしまった。今では声が聞こえれば船室から飛び出して、走っていってしまうほどだ。

「前よりもデカくなったんじゃねェか?」
「そうだよ!しんちょーがね、ちょっとのびたの!」
「そりゃァ良い!そうと決まれば宴の準備だ!」
「うたげだー!」

ふわりと抱き上げられて満足気な名前は自分の成長に気付いてくれたことにも気を良くして、その小さな腕をシャンクスの首に回して抱きついた。

ぷくぷくとした頬がシャンクスの頬にも触れて、その柔らかさと温かさにシャンクスの頬も緩む。

「お頭、白ひげの奴らとんでもねェ顔してるぞ」
「大事な大事な名前が俺に取られて妬いてるだけだろ?面白ェじゃねぇか!」
「べっくだあー!」
「久しぶりだな、名前」
「きゃはふっ、ひさしぶりいー!」

可愛い末妹を取られてヤキモチを妬いているクルー達の鋭い視線が向けられ、ため息をついたベックを見つけた名前の顔がパッと輝く。

ぽんぽんと頭を撫でられて嬉しそうに笑い声を上げた名前に船の空気がでれっと緩む。これが、かの白ひげ海賊団の船だなんて誰が思うだろうか。威厳も何もあったもんじゃない。

「おいシャンクス!いい加減その手を離せよい!」
「おっ、マルコじゃねぇか。どうだ?俺の船に乗る気になったか?」
「なってねェよい!ふざけた事言ってないでさっさと降ろせって言ってんだよい!」
「おーおー、お前の兄ちゃん厳しいなァ?」

とうとう痺れを切らしたマルコがシャンクスの前に立って声を上げれば、シャンクスは態とらしく肩を竦めて名前を抱く手に力を込める。

キョトンとした顔でマルコとシャンクスの顔を交互に見つめる名前はどうやら自分を巡って彼らが喧嘩をしていると思っていないらしい。

終いには自分一人が仲間外れにされていると思ったのかぎゅうっとシャンクスにしがみつく。

「どうした?名前」
「わたしも、おはなししたい…」
「何も泣く事ねぇだろい。誰もお前のことを仲間外れになんかしねぇよい」

急に静かになって抱きついてきた名前に首を傾げるシャンクスだったが、耳元で聞こえた泣き出しそうな小さな声にギョッと目を見開いた。

対してマルコはまたか、と言わんばかりの顔で笑って名前の頭を撫でる。ふと顔を上げてマルコに向かって手を伸ばす名前をシャンクスの腕の中から抱き上げて背中をぽんぽんと叩く。

「いつの間にかしっかり兄貴じゃねェか」
「名前が船に乗った瞬間からしっかり兄貴やってんだよい」
「はぁ〜〜こんな顔されたらもう迂闊にマルコを誘えねェじゃねぇか」

ぐすぐすと鼻を鳴らしてマルコに抱きつく名前の安心したような緩んだ顔を見てシャンクスが堪らず苦笑いを零す。

つんつんと柔らかい頬をつつけばキョトンとした真ん丸な目がシャンクスを映して、こてんと首が傾げられる。

不思議そうな顔をする名前にシャンクスは「なんでもねェよ」と笑ってぐしゃりと頭を撫でた。

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