その想いが背中を押すから

※びっくりするくらい短い

◇◇◇

頑張れって言葉が、嫌いだった。頑張ってる時に言われる頑張れって言葉は、頑張ってないって言われてるみたいで、嫌いだった。

だから、私は頑張れなんて言わない。レースに向かう皆に頑張れなんて、三年間で一度だって言ったことが無い。だからと言って「応援してる」だとか「勝ってね」だとか。そういう言葉をかけたこともない。

レースに出る事のできない私は、皆の勝利を信じて待つことしかできない。でも、黙って待ってるだけなんて嫌だった。だから、私はいつも言うんだ。

「今日も、ウチが勝つ」

って。隣を走ることは出来ないけれど、気持ちはいつだって一緒だ。私が見えない場所で辛くなったり、苦しくなったりする瞬間はきっとある。

一人じゃどうしようも出来ない思いは、私が一緒に背負ってあげるから。一人じゃないって想いが、事実が、背中を押すから。だから私は、頑張れなんて突き放すようなことは言わない。

「箱学が勝つよ。当然でしょ」
「ああ、当然だ。俺達は強い」

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