ぜんぶ、おさけのせい。

※荒北が酔ってデレデレしてます。

◇◇◇

「アー…ほんッと、かわいー、よなァ」

そう言って緩みきった頬で私の髪の毛をするする撫でる靖友に何度目か分からないため息をついた。

ちょっと目を離した隙に度数の高いお酒を煽ってテーブルに突っ伏していた靖友にぎょっと目を見開いたのはほんの数分前。ぱちりと目を開けて起き上がったかと思えば、私の腕を引いて自分の隣に座らせてニコニコと笑い始めた。

「靖友、お水飲も?ね?ほら、」
「口移しならいいヨォ」
「バカ言ってないで飲んでってば」
「ヤダァ」

ケラケラと笑いながら今度は私の手を握ったり撫でたりしながらご機嫌に鼻歌を歌う靖友は正直可愛い。いつもの目つきと態度の悪さはどこへやら。とろんとした目とくしゃっと笑う顔、そして極めつけはこの態度。

さっきから可愛い可愛いと私を褒める靖友に最初こそ驚いたけれど、最早慣れた。

だって何しても可愛いって言うんだもん。

「明日頭痛くなっても知らないよ」
「そしたらオメーが介抱してくれンだろォ?」
「しません」
「ぜってー嘘ォ。だってオレのこと好きじゃん」
「それ関係なくない…?」
「関係あンのォ。な、オレのこと好きィ?」
「好きだよ」
「ン、じゃあイイじゃァん」
「…なにが?」

酔っ払っているせいで脈絡のない話を繰り返す靖友に適当に返事を返しながら水の入ったグラスを渡す。何が面白いのかケラケラと笑いながらグラスの中身を一気に流し込んで「おかわりィ」と言う靖友にもう一度水の入ったグラスを渡す。

何度かそのやり取りを繰り返して、少しすると酔いが回りに回って眠くなってきたのか靖友は私の肩に頭を乗せてきた。

「靖友?眠いの?」
「ンー、ねむくないヨォ」
「いや寝てるじゃん…。ベッド行こうよ」
「連れてってェ」
「私が靖友抱えて歩ける訳ないじゃん」
「愛の力で何とかしてェ」
「愛じゃどうにもなんないから」

半分眠りに落ちながらぽやぽやとした返事をする靖友にため息をついて、今日はこのままリビングで寝る羽目になるなぁと靖友の頭を撫でる。

ぐりぐりと額を私の肩に押し付けて小さく唸る靖友が段々小さい子供に見えてきて、ふふっと笑みが零れた。

酔っ払った靖友、すっごい可愛い。

「なァ、」
「なぁに?」
「オレさァ、やっぱ葵のこと、好きだわ」

ふにゃりと笑った靖友と唇が重なって、そのままずるりと肩からずり落ちた靖友の頭が私の太ももに落ちる。すうすうと静かに寝息を立てる靖友をぱちぱちと瞬きをしながら見つめて、漸く状況が理解出来た。

「は、…?エッ、ちょ、待って今寝る!?ねぇ!?」

嘘でしょ!?と声を荒らげるけれど、気持ち良さそうに眠る靖友は少し身じろいだだけで起きてはくれない。

さ、最後の最後に爆弾落としていきやがった…!

真っ赤になった顔を誰に見られている訳でもないのに手で覆う。

「…わたしだって、靖友がだいすきだよ」

きっと、私も酔っているんだ。靖友も酔ってたし、私も酔ってた。

だから今日の出来事は全部お酒のせい。全部、全部、お酒のせいだから。

そう自分に言い聞かせて、眠る靖友の唇にゆっくりと自分の唇を重ねる。ふわりと香ったアルコールと、少し湿った唇が熱くて、頭がクラクラした。

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