やってしまった。それはもう盛大に。
ふ、と浮上した意識と見慣れた景色。ぱちぱちと数度瞬きをしてゆっくりと体を起こして、ハッとした。恐る恐る先程まで自分が凭れかかっていたソレに目を向けると起きた?なんて笑いかけてくる降谷さんがいた。こういう時に限ってやたらと回転の早い頭は即座に自分の置かれている状況の最適解を弾き出し、私は深々と頭を下げる。
「大変申し訳ありませんでした…」
「あっははは!謝られてるぞ、ゼロ」
「別に重くないし気にしなくていいのに」
「あっ、いや違いますそこじゃない…」
嫌いにならないで、一緒にいて、なんて。未就学児でもあるまいに、ギャン泣きした挙句に爆睡なんて肩身が狭い所の話じゃない。いっそ殺せ。しかも降谷さんの肩に思いっきり凭れかかって、イケメン二人の前で泣き腫らした可愛くない寝顔まで晒して、どうやって生きろと?
両手で顔を覆ってうわああ…と絶望の声を漏らせば、ぽんぽんと優しく頭を撫でられる。そっと顔をあげて、私の頭を撫でる諸伏さんをじっと見てから視線を降谷さんに移す。何度か二人を交互に見て、やっぱりいたたまれなくて顔を覆って俯く。いやダメだろ。ダメだろ!?
「ほら、咲桜〜。ゼロは別に怒ってないぞ〜」
「、ぇ」
うう、と小さく唸る私にクスクスと楽しそうに笑った諸伏さんの言葉にハッと顔を上げる。
「お、起きた」
「咲桜?どうした?」
「なん、で…」
目を瞬かせる私を見てこてんと首を傾げた降谷さんの言葉にくしゃりと自分の顔が歪んだのが分かった。
「なぁんでまた泣くんだよ〜。どうした〜」
「今度はヒロが泣かせたな」
「ええ、俺ぇ!?えぇ〜咲桜〜泣き止んでよ〜」
ぽろぽろと溢れる涙が止まらない。自惚れかもしれない。それでも、彼らが私の名前を呼んでくれる事実が嬉しくて、愛おしくて、胸の奥でふくふくと膨らむ思いは言葉にならない。ふえ、と嗚咽が零して泣く私に諸伏さんが困ったように眉を下げて私の頭を何度も撫でる。
「もう、独りじゃないよ」
「ちゃんと一緒にいるから」
安心しろ、と言わんばかりに私の頭を、背中を撫でる大きな手に涙が止まらなかった。嬉しい、ありがとう、と伝えたいのに口から零れるのは嗚咽ばかり。それでも二人は私の言いたいことが分かっているかのように何度も頷いて、優しい顔で笑っていた。