俺達の面倒を見るので手一杯だ

合宿直前の期末テスト。その件で先生から「田中くんと西谷くんを何とか…!」と言われるくらいには成績抜群の雛。「ああ、そっか日向達は知らないのか。雛は学年で五本の指に入るくらい頭良いんだよ」って縁下に言われて驚く1年とそれに縋る2年のバカ2人。

「雛さん五本の指に入るってマジすか」って影山に言われて「うん…?えっ、それ誰から聞いたの…」って雛はげんなり。「縁下さん達が言ってました!」ってキラキラした顔で挙手する日向に「あー…うん、えっとね、誤解のないように言っておくと別に頭が良い訳では無いのよ」って言うんだけど2人して本気で分からないって顔で首傾げられる。

「勉強が出来るんじゃなくて、予想するのが得意なだけなのよね」って言うと「予想…?」って2人して益々分からなくなってしまって首傾げてる。2人にとって分かりやすい説明は…と思って「例えば、バレーでストレートのスパイクが得意な選手がいるとするじゃない?」って話を始める。

「その選手が過去10試合のうち、90%の確率でストレートを打って来てたら自分たちがその選手のブロックに付く時、ストレートとクロスのどっちを守ろうって思う?」って聞いたら2人揃って答えはもちろん「ストレート」。つまり、先生ごとにどんな問題を出してくるのかっていう傾向を予想して勉強してるから点数が取れるって訳。

「だから勉強ができるのとはちょっと違うのよね」って困ったように雛は笑うけれど、それも普通にすごいことなので日向も影山も「す、すげぇ…!」って感動してる。勉強教えて下さい!って2人が頼んでくるけど、「教えてあげたいのは山々なんだけど…あの二人がねぇ…」と苦笑いするしかない。

「翔陽!ダメだからな!雛は俺たちに勉強を教えるので手一杯だ!」「悪いな影山!雛はお前たちに構う余裕など無い!」って堂々と胸を張る2人の後頭部を「そんなドヤ顔で言うことじゃないでしょ。バカ」って言いながらスパーンと叩く雛。

「まあ模擬テストとか、簡単なものなら作れると思うから出来たら渡すね」って笑う雛に元気に返事する日向と影山。一連の流れをちゃんと見ていた山口と月島が「…雛さんも大概ちょっと変な人だよね…?」「そりゃあの人達と一緒にいるんだから変でしょ」なんてこそこそ話をしていることを雛は勿論知るはずもない。

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