ちょっとびっくりさせようと思っただけ

雷は別に怖くは無いけどびっくりはする雛。光ったり鳴ったりする度に「うぇいっ」とか「うっ、」とか声上げるから黒尾はもう楽しくてしょうがない。「雷怖いの?」「怖くないんですけどびっくりします、うっ!?」「びっくりしてんなぁ」

光るとびくっ、鳴るとびくっ、で話してる最中も途中で「うひっ、」とか言うから悪戯心で「わっ」って言ったのと地面が揺れるくらいとびきり大きい雷が落ちたのが重なってしまって「わぁぁあああ!?!?」って雛が腕の中に飛び込んでくるからビックリして後ろに倒れちゃう。

雛を何とか抱え込んで尻もちを着いたらバチッと電気が消えて「も、やだぁぁああ」って雛の半泣きになる声がするから「大丈夫大丈夫。すぐ付くから」って背中を撫でてあげることしか出来ない。内心では罪悪感にグサグサ刺されてるし、胸元には女の子特有の柔らかい感覚があるしで(誰か助けてクダサイ)って思ってる。

そうこうしてる間にパッと電気が付いて、目が慣れてきてふっと腕の中を見たら「なんで、驚かせるんですか…」って雛が泣きそうな顔でぷるぷる震えてるから「ア、イヤ、あの、ハイ。ほんと、ごめんな…?まさかこんなことになるなんて、思ってなくて」ってたどたどしく謝りながら頭を撫でれば「…こわかった、」ってぽろっと涙を流されるから(あーーー!?!?マジでごめんなさい!!!)って大パニック。

「あーっ、と…え、っと…雛さん、ゴメンなさい。泣き止んでくれませんか」ってそっと頬の涙を拭ったらきゅっと唇をかみ締めた雛が「…もう、しないでください」って言ってくるから「うん、ほんとにごめんな」って無意識で腕の中に閉じ込めて背中をとんとん撫でてあげれば腕の中でぐすぐす鼻を鳴らす音が聞こえてくる。

泣き顔可愛いなとか、抱きしめた体が柔らかいなとか、また意地悪したら怒るかなとか。色んなことを悶々と考えてたら雛を離すタイミングを見失ってしまって「あー…えっと、お邪魔だったかな?」って苦笑いの海に見つかって慌てて雛を離す。「イヤ!?いや別に!?」って大慌ての黒尾をきょとんと見てから「慌てすぎじゃないですか?」って雛も笑っちゃう。

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