やっちまった大賞A

やっちまった大賞の翌日、物凄い色になった腕を見て「うわぁ……」と自分で引いてしまう雛。夏だから長袖を着る訳にもいかないし、かと言って包帯巻いて仰々しくするのも嫌だし、何もしないで見せびらかしてるみたいにするのも嫌で(どうしよ…)と困ってしまう。

とりあえず…と思って上は長袖、下はハーフパンツで朝食を食べに行ったら澤村がすぐに駆け寄ってきて「腕、何ともないか?」って聞いてくれるから「全然、痛くは無いんですけど見た目がやばすぎて困ってます」って返したら「ちょっと見てもいいか?」って恐る恐る聞いてくるから腕を出す。

そおっと袖をまくって腕を見た澤村が「これ、ほんとに痛くないのか?」って引き攣った顔するから「私もびっくりなんですけど、ほんとに痛くないんですよね」って返してたら菅原と東峰もやって来て「は!?ちょ、これ絶対ダメなやつでしょ!?折れてるって絶対!」って騒がれる。

「ほんとに痛くはないんだな?」って念を押すように澤村にじっと見られて(あ〜これ嘘ついたらぶっ飛ばされるやつ〜)って思いながらも実際ほんとに大丈夫だから「はい、全然大丈夫です!」って笑って返す。「…わかった。その代わり、ちょっとでも変だなと思ったらすぐに言うこと。いいな?」って言われるから、それに返事をする。

ご飯を貰って空いてる席に行こうとしたら横からお盆を攫われて、びっくりして視線を向けたら「おはよ」って笑う黒尾がいる。「お、はようございます…?」ってとりあえず挨拶を返したら、そのままお盆を持ってすたすた歩いていっちゃうから慌てて後ろを追いかける。

「腕、平気?長袖ってことはあんま良くないんでしょ」って眉を下げて言われるから「あっ、違うんです!痛いとか酷いとかじゃなくて、ちょっと色がやばくて…」って苦笑いで返してしまう。「え、それ見てもいいやつ…?」って恐る恐る聞いてくるからさっきの澤村と重なって笑っちゃう。

「全然いいですよ。ほら」ってお盆を持ってくれてる黒尾の代わりに自分で袖をまくったらぎょっとした顔してから「いや…もう、マジで…はぁ…」って項垂れるから「すごいですよね。こんな色になるなんて思ってなかったです」って大丈夫ですよアピールで笑ってみせる。

持ってたお盆を空いてる席に置いてそっと腕を撫でた黒尾が「…これ、ほんとに痛くねぇの?」って聞いてくるから「はい。やばいのは見た目だけです」って言ったら「何かあったらすぐ言ってな。重いもの持ったりレシーブなんて以ての外だからな」って頭を撫でられて思わず吹き出してしまうよね。

「今笑う所ありましたかね…?」って頬を引き攣らせる黒尾に「あはっ、ごめ…っごめんなさい…っふふっ、だって、大地さんと全くおんなじこと言うから…っあはは!」って声上げて笑ったらほっとしたように笑って「全く…元気ならいいんですケドネ」ってまた顔の横の髪の毛を耳にかけられる。

「心配してくれてありがとうございます」って言ったら「いーえ。どういたしまして」って笑ってひらひら手を振っていなくなるから(どの学校もキャプテンって凄いんだなあ…)ってしみじみ思いながらむぐむぐご飯を食べる雛がいる。

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