ぼふんって音を立てて煙に包まれた雛。次に姿を表した時にはあっという間に綺麗な濡羽色の羽が生えている。「な、なになに!?なにこれ!?」「烏…?」「烏だな」「雛って烏だったのか」「そんなわけないでしょ!?」って2年ズであっという間にわいわい。
「どうしたらいいの?」「知らん」「これ触っていいやつ?」「伝染ったりしないよね…?」「え、しな…いんじゃね…?」「まあ伝染ったらそん時考えようぜ」「西谷が触りたいだけじゃん」「いやお前らだって気になるだろ」って皆で喋って、最終的に西谷が「よし、触るぞ」って謎に意気込んで雛の背後に立つ。
ぺたん、と座って「…優しく触ってね」って言うから周りで見てた皆が(なんかダメなことしてる気分になるから辞めろそういうの…!)って思うけど西谷は「おう、任せろ」って謎に自信満々。恐る恐る手を伸ばしてちょん、って触れればふわっふわでびっくりした目を見開く。
「すっげぇ」「すげぇ?」「すげぇ」「めちゃめちゃ?」「めちゃめちゃ」って雛と西谷が話してるから皆も気になって次々に触る。「うお、すげぇ」「烏の羽ってこんなんなのか!?」「いや触ったことないから何とも…」「前に動画で見た赤ちゃん烏みたい」「あ〜〜あのぱやぱやしてたやつ」って雛が何も言わないのを良いことに遠慮なく皆がもふもふ羽を触ってたら「くすぐったいんだけど…!」って雛がぷるぷる震えだすから全員両手を上げて「わ、悪い…」「思いのほか気持ちよくて…」って皆がたじたじになる。
「なんか背中に近いとこ触られるとぞわってする」って背中を頻りに気にする雛に「この辺か?」って西谷が手を伸ばして羽の付け根のあたりを指でつん、ってつついたら「ひぃ…っん、」って雛がビクッと肩を揺らして声をあげるから西谷の動きがビシッッッ、って止まる。
「ぞ、ぞわぞわするって言ったのになんで触るの…!」って雛が抗議の声をあげるから「わ、わるい…いやまじで、ごめんなさい…」って西谷が必死に顔を逸らしながら謝る。「もう…」ってぷんすこしながら自分でも羽に触って「おわ、ほんとにふわふわ」ってやり始めた雛を横目に縁下と木下が西谷の頭を叩く。
「バカか」「ふざけんなバカ」「だから悪かったって言ってんだろ…!」「あれは有罪」「ノヤさん、さすがにアレは…」「だぁぁぁあああ!っせぇなぁ!悪かったってば!」って2年男子ズがぎゃんぎゃん騒ぐ。それもそのはず、大事な仲間であり同級生であり、最も近しい異性の甘い声なんて聞いたこともなければ聞こうと思ったことも無い。
そんな声を偶然聞いたら単純な男心は動揺するに決まっている。あまりのやかましさに「なぁに?」と首を傾げる雛になんでもないと必死に言い訳を並べて内心ドキドキしているザ・高校生な2年男子ズがいる。「これいつ治るんだろ…」「ずっと治んなかったら色々やべぇ」「色々?」「色々」