本気でバレーに向き合える人限定

3年生になった雛。新1年生のマネ希望が殺到して頭を抱える。「助けて新主将」「俺に出来ることはないかな」「入部拒否とかはあり…?」「今までした事ないからな…どうなんだそれ…」って縁下の前で机に突っ伏しながら大量の入部届を眺める雛がいる。

「あー…っと、そうすると…流れ球には気を付けてもらって、今日は基本的な仕事の説明をするね」って雛が話しているにも関わらず女の子達の視線はバレー部へと注がれている。「……えっと、じゃあ移動しよっか」って声をかけると明らかに嫌そうな顔で着いてくるし、最早全然話を聞いてないから困っちゃうね。

仮入部の子達が帰ったあとにどうしようかなって思いながらモップかけてたら「雛さん、大丈夫ですか」って影山が声掛けてくるからびっくりして目を真ん丸にしちゃう。「ごめん、ため息嫌だったよね」って困ったように笑ったら「いや、それは別に気になんないっすけど」って言われて「あっ、そう」って笑っちゃう。

「なんか、疲れてるみたいだったんで。変わりますか」って言ってくれる影山にじーーんと来ちゃって「〜〜ッお前は〜〜!!可愛いヤツめ!!ありがとう」って頭くしゃくしゃ〜〜!って撫でればされるがまま撫でられてきょとんとしてるの可愛いね。

「大丈夫。ちょっとどうしようかなって思ってただけだから。影山のお陰で元気でたよ」って笑えば「?元気ならいいんですけど」って終始キョトンとしてるから「珍しく人の事気にかけてると思ったらやっぱり王様は王様だね」って月島がぷぷってバカにしたように笑って「あ゛!?」って喧嘩し始めるから笑っちゃうね。

最初はどうしようか悩んでたけど、影山と月島の言い合う姿とか、掃除しながらボールで遊び出した日向達の姿とか、自主練する2年ズの姿を見て雛の中で答えが決まる。「よし!」ってほっぺを両手で叩いて気合いを入れた雛の姿を見て谷地が近付いてきて「雛さん!あの、私じゃ力及ばずかもしれませんが…!できることなら何でもするので!」って言ってくれるから「やっちゃ〜〜ん!」って抱きしめて頭を撫でる。

「ありがとうね。明日、私頑張るから応援してくれる?」っていたずらっ子みたいに笑いながら言えば「任せてください!大得意です!」って言ってくれるから2人で声上げて笑っちゃうね。次の日、またきゃぴきゃぴしてやって来た女の子達に向かって小さく息を吸ってから「今日は、練習の前に言っておきたいことがあるの」って体育館にいる皆に聞こえるくらいの大きな声で雛が言うから女の子達もびっくりして固まる。

「ウチのバレー部は、遊びでもおふざけでも無く本気で全国制覇を目指してるの。選手もマネージャーも、皆が本気で勝つ為に頑張ってる。選手の皆が全力で戦えるようにサポートをするのがマネージャーの仕事で、応援すればいいってことじゃない。本気でバレーに向き合える自信がある人だけ、残って欲しい」って雛がはっきり告げれば明らかに嫌そうな顔でこそこそと話し始める。

「折角来てもらったけど、今日は全員帰ってもらうね。一日考えてもらって、本気でバレーに向き合える人だけ明日ここに来て欲しい。勿論綺麗にセットした髪の毛も、キラキラの爪も、全部バレーには必要無いから」ってハッキリ言い切った雛に女の子たちもたじたじになりながらも何も言い返せずに苦し紛れにこそこそ文句を言いながら体育館を出て行く。

全員が体育館からいなくなった瞬間に「……はぁぁああ」って大きなため息を吐いて雛がしゃがみ込む。「雛さん!」って谷地が駆け寄れば「わたし、超嫌な先輩だったね」って困ったように眉を下げで笑うから「そんなことないです!!雛さんは、いつだって私の大好きなかっこいい先輩です!」って勢いあまった谷地が大きな声で言うからびっくりしちゃう。

「ハッ…!す、すみません…!私なんかに好きって言われても…!」ってわたわたする谷地をぎゅううって抱きしめた雛が「ううん。すっごい嬉しい。わたしも、やっちゃんのこと、ほんとに大好き」って笑う。マネージャー2人がぎゅうぎゅうくっ付いて楽しそうに笑ってる姿を見て「大丈夫そうだな」「だな。まじでヤバそうだったら行くつもりだったけど」「さすがに俺らが出るとこじれるもんな」って成田、木下、縁下が話してるし、女の子達がいることで絶対に練習の邪魔になる確信があった西谷、影山、月島は内心雛ナイス!って喜んでる。

大っぴらに迷惑とは思ってなかったけどマネージャーが困ってるのを黙って見てるのはなあ…って思ってた田中、日向、山口も一安心で皆暖かい目で見守ってる。次の日になってドキドキしながら体育館に向かったらあんなにいたキラキラ女子達は誰も来てなくて、武田からは「彼女たちからは入部辞退の申し出がありましたよ」ってニッコリ笑いながら言われてちょっと心が痛む。

でも「やる気ない奴らがいたって迷惑なだけだし、雛さんが気に病む必要あります?」って月島にハンッ、って鼻で笑われるから不器用な優しさにゆるゆる頬が緩む。「……そうだよね。ウチの部はバレー馬鹿じゃないと続かないもんね!」って月島の背中をばしっと叩けば「え、自分のことですか?」って言ってくるから「月島もだよ」って笑えば嫌そうな顔されるから笑っちゃうね。

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