ボール激突事件@

やっちまった大賞の件があったことで皆ちょっと油断した頃。思いっきり飛んで行った木兎のスパイクに「危ない!」と反射的に声は出たもののその場の全員の頭には雛の綺麗なレシーブがよぎる。でもその予想を大きく裏切って、集中してた雛の側頭部にボールは見事クリーンヒット。

ガシャ--ンッッッ!!とけたたましい音を立てて雛がパイプ椅子と一緒に倒れ込むからその場の全員血の気が引く。真っ先に駆け寄ったのは黒尾と赤葦。「ッおい!雛ちゃん!」って駆け寄る黒尾と「日向!烏野の人呼んできて!」ってすぐに指示を出す赤葦。

雛はボールがぶつかったのと倒れた時に頭を打ったのとで頭がぐらぐらしてて「き、もちわる…い、」って動けない。顔も真っ青だから黒尾も赤葦も最悪を考えてしまってゾッとする。突然の出来事に呆然とする木兎だけど雛が「ぼ、くとさ…ごめんなさ、い…」って小さな声で謝ってるのが聞こえてバタバタ駆け寄る。

「ぼーっと、してたの、わたしだから…、ぼく、とさん、わるくない、から…」って言われて胸がぎゅうううってなる。日向に呼ばれてやって来た烏養と武田が「悪い。先生車出してくれるか?」「大丈夫です。僕、猫又先生に病院聞いてきますね」って慌ただしく動き回ってる。

騒ぎを聞き付けた澤村達もやって来て黒尾から話を聞いてゾッとする。そのまま慌ただしく先生に連れられて体育館を出ていった雛を見送って全員何も言えずに扉を見つめるしかできない。「雛さん、大丈夫ですよね、…?」ってリエーフが小さい声で言うから「大丈夫に、決まってんだろ」って黒尾が返す。

みんな心配で練習どころじゃなくて、早く連絡が来ないかと今か今かと待ってたらようやく連絡が来る。澤村の電話が鳴って皆がビクッと肩を揺らして不安に満ちた目で見つめる中、「はい、…はい、…わかりました。はい、ありがとうございます」って電話を切った澤村が「大丈夫だそうだ。少し病院で休んで、今日中には戻ってくるらしい」って言うから全員ドッッッと疲れが襲ってくる。

「よ、かったぁぁ……」って半分泣きそうになってる菅原と東峰がいて、日向は安心でもう泣いてる。自分のせいだって落ち込む木兎に「気にしないで下さい!流れ球が来るって分かってる場所でぼけっとしてたアイツが悪いんで!」って西谷が声を上げる。

「西谷、言い方。まあ、実際アイツも同じこと言うと思うんで。ほんとに気にしないでください」って縁下にも言われてちょっとだけ木兎も心が軽くなる。そうは言うものの1番心配してて心臓バックバクなのが2年のこの2人。雛が自分の足で歩いて帰ってくるのを見るまでずっと心休まらない。

「あ、はは…ごめんなさい…」って苦笑いで帰ってきた雛に「お前なぁ…」って呆れる2年2人とそれを宥める2年3人のお話があったりするかもしれないし無かったりするかもしれない。

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