仲直りとお兄ちゃんと

ボール激突事件の翌日、朝食を食べに行ったら「雛ちゃんおはよ!」って木兎に声をかけられる雛。「おはようございます!」って返したら「今日の朝一緒に食べていい?」って聞かれるから「いいですよ」って答えて一緒に食べる。

ご飯食べながらずっとそわそわしてる木兎に「もしかして、心配して誘ってくれました?」って笑いながら聞いたらビクゥッ!って肩揺らしてから恐る恐るこっちを見て小さく頷くから(あ〜〜これは末っ子ですわ……)って思いながら思わず笑っちゃう。

「平気ですよ。ほら!ご飯もこんなに食べてます」ってそこそこしっかり目に盛ったご飯を見せるけど「…うん…」ってしょんぼりしたままだから「木兎さん、私にキレキレストレート、見せてくれるんでしょ?あと超インナークロス!」って小指を差し出す。

「指切り、しましょ?ね?そしたら元気になります」って言ったら恐る恐る小指が絡められる。指切りげんまんって歌って指切ったって言ってから「大丈夫ですよ。むしろ全国で5本の指に入る木兎さんのスパイクを頭で受けても平気だったんだから多分車に轢かれても平気です」ってけらけら笑う。

後ろから「いや、それはねぇだろ」って笑い声が聞こえてびっくりして振り返ったら木葉が立ってて「あ、聞いちゃいました?」って笑ったら「聞いちゃった」って笑って木葉が向かいの席に腰を下ろす。「まーだしょぼくれてんのかよ、お前は。雛ちゃんだって平気って言ってんだろ?」って木葉が呆れた顔をする。

そんな木葉の様子に「もしかしても昨日からずっと?」って聞いたら「そうなんだよ。俺のせいで〜ってすっとこれ」って苦笑いされるから「じゃあこうしましょう。今日の練習で私との約束守ってくれなかったら嫌いになります。もう二度と話さないです」って言ったら「え゛っ」って木兎が目を丸くする。

「だから、ちゃんと魅せて下さいね?期待してますよ、エース」って言ったら「〜〜ッ!任せろ!!」ってガーーーッとご飯をかき込んで「あかーし!!!行くぞ練習!!!」って立ち上がるから「あはは!」って笑っちゃうね。「観ててね、雛ちゃん」って言われるから「はい!楽しみにしてます!」ってってグーにした手をこつんってして木兎を見送る。

「これじゃどっちが年上か分かったもんじゃねーな」ってけらけら笑う木葉に雛が「でも、自分が誰かを傷付けたって思ったら迷うし、怖いし、辛いと思うんです。でも、それでも木兎さんはバレーを辞めない強さを持ってるから。だから、私は彼にそんな重荷を背負わせた責任を取らなきゃいけないんです」ってぎゅっと拳を握りしめる。

でも、きょとんとした木葉に「考えすぎじゃね?」って言われてぽかんとする。「そりゃまあ、男と女だし?力の差とか体の強さとか色々違うけどさ、木兎のサーブが後頭部直撃とかよくあるし?それでも俺は死んでないし、普通に一緒にバレーしてるよ?今回はたまたま運が悪かっただけだし、木兎も雛ちゃんも気にしすぎだと思うけどな」ってご飯食べながらつらつら話される。

それから「雛ちゃんが、目一杯応援して、一緒に喜んで、一生にバレーしてくれれば、それで十分でしょ」って言ってくれる木葉に「……そう、ですかね」って呟いたら「そうそう。現にアイツ、バレーやるぞ〜って張り切って飛び出してったろ?烏野と音駒には俺から言っとくからさ。今日はアイツのこと、応援して一緒に🏐やってあげてくんない?」

そう言って今度は木葉が小指を差し出してくるから自分の小指をそれに絡める。指切りげんまんって、軽やかな歌が聞こえて「指切った、ってね。んじゃ、今日は臨時で梟谷のマネちゃんになってもらおうかな」って言われるから「木葉さん、お兄ちゃんみたいですね」って気持ちが穏やかになって自然と笑みが零れる。

「お?マジ?雛ちゃんなら大歓迎」って言われるからさっきまでちょっぴり苦しかった気持ちもどっか行っちゃう。その日は一日梟谷の臨時マネージャーとして動いて「きゃ〜!木兎さんかっこいい〜!」「ふふ〜ん!そうだろ!そうだろ!」「もう1回見せてください!」「よっしゃあ任せろ!あかーし!トス寄越せ!」ってあっという間に仲直り。

※木兎は雛にボールぶち当てた瞬間のことをずっと覚えてるし誰よりも怖かった。1番怖かったのは自分のせいで雛がバレーを嫌いになったらどうしようって事だったから、雛が一緒にバレーを楽しんでくれた事が救いになったし、木葉はそれにちゃんと気付いてたんだよね。

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