口止め料は安くない

1年生4人と買い出しに行くことになった雛。自分より背のでかい男達を引き連れて買い出しに行く。スッと車道側を歩いてくれる山口に「は〜〜ウチのバカ2人にも見習って欲しい〜〜」と頭を抱えたら「まああの二人には難しいでしょうね」なんて月島が鼻で笑うから一緒に笑ってしまう。

皆でだらだら話しながらお店まで歩いていたら、突然影山に「雛さんは何でバレー部入ったんですか?」と聞かれるから(影山もそういうの気になるんだ)と思わずぽかん。少しだけ考えるように視線を彷徨わせてから「皆さ、入学して最初の体育って何やった?」と雛が聞くから今度は皆がぽかん。

そんな姿にくすくす笑ってから「私ね、入学して最初の体育はバレーだったの」と雛が話し始める。「小学校の頃と中学の頃にちょっとやってたから、友達と一緒にパス練習してたんだけどね。それを見た西谷が『お前レシーブ上手いな!?』って声掛けてきて、それが始まりだったの。それから毎日猛アピールされちゃってさ」と困ったように笑う雛に何となく察した月島と山口が「まさか…」と言わんばかりの顔をするから「お察しの通り、毎日放課後にバレー部入ってくれ〜って大騒ぎ。西谷に引っ張られて話したこともない田中達まで加わって大変だったんだから」と雛がけらけら笑う。

容易に想像できる状況に「うわぁ…」「最悪ですね」と2人も嫌そうに顔を顰めるから益々おもしろくて笑っちゃう。「でもね、断り続けてた私に西谷が言ったの。『お前の高校生活3年間、俺が一生記憶に残る思い出を作ってやる!絶対に後悔させないから一緒にバレーやろう』って。そう、言ってくれたの」と、そう言った雛の表情が本当に嬉しそうで、優しくて、愛おしいものを見るような目をしているから、思わず日向と影山ですらぐっと息を飲んでしまう。

「西谷はね、私のヒーローなの。最高にカッコイイでしょ、アイツ」と言ってそれはもう嬉しそうにニッと歯を見せて雛が笑うから、喉まで出かかった(付き合ってるんですか?)を飲み込んだ山口と(それもう好きなんじゃないの)と思わずにはいられない月島。(なんかよく分かんねーけどやっぱノヤさんかっけぇ!!)とウキウキしてる日向と、(この人もバレー出来んのか…)と割と序盤で情報が止まってる色恋に興味のない影山。

「さ!この話はおしまい!さっさと買い出しして、帰って練習するよ〜!」と腕を上にあげて伸びをした雛が「あ、それから今の話は西谷含めて、バレー部の人達には内緒ね!買い出し終わったら好きなお菓子1個買ってあげるから」といたずらっ子みたいに笑って人差し指を口元に持っていく。「口止め料ってことですか?」と月島が意地悪な顔で言うから嫌な予感がして「そんなとこ!あっ、1個は1個でも高くないやつだからね」と一応止めたら「え〜?僕を安物のお菓子1個で口止めできると思ってます〜?」なんて言ってくるからそれに乗っかった皆も高いもの買ってもらおうとしてくる。

そんな姿に根負けして「あー!もう!今回だけだからね!」と皆にちょっといい値段するお菓子を買ってあげる雛がいて、この買い出しをきっかけに少しづつ1年達とも仲良くなっていく。

・・・
※以下、ボツにした話。

「じゃあ100円あげるから好きなの買ってきな」と100円玉を持って笑う雛に「うおおお!?いいんすか!?あざーっす!!」「あざっす!!おいこら日向先行くんじゃねェ!!」と大騒ぎする日向と影山。大はしゃぎの2人を見て「元気だねぇ」と笑う雛に月島が「…100円って…奢る気ないデショ」なんて言うから「うは、バレてら」とけらけら笑う雛。苦笑いの山口に「冗談冗談。山口、あの子たち呼び戻してきて。100円じゃなくてちゃんと好きなの買ってあげるから」

と言うシーンを最初は入れようとしてたんですが、書いてくうちに流れが変わってしまって入れなかったった話です。またどこかで同じくだりをやって「このくだり、前もやりましたよね?」「お、よく覚えてるね」なんて笑いながら月島と話す未来もあるかもしれないですね。

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