大王様は勘違いしていたみたい

街中で知らない男に絡まれてる所を及川に助けて貰った雛。お礼を渡す為に、学校帰りの及川と待ち合わせをしたら何故か同じ制服の他の人も一緒に来てるから「エッ何か、あれです?知らない人から物貰っちゃいけませんみたいな…?」「俺の事幼稚園児だと思ってる???」ってなる。

「冗談です。あの、この間はほんとにありがとうございました。これ、お礼です」って袋を差し出したら「いや〜そんなの気にしなくていいのに〜!ごめんね!むしろ気使わせちゃったみたいで!」ってニコニコ笑いながら受け取ってくれるから一先ず安心。

受け取って貰えなかったら…って心配してたからホッとする。「じゃあ私はこれで。お連れの方も、お待ちみたいなので」ってぺこっとお辞儀して帰ろうとしたら「えっ」なんて声が聞こえるから「エッ、何かありました…?」っって立ち止まる。

「いや、アッウン…なんでも、ない」って驚いたような顔で及川が目をぱちぱち瞬かせるけど、どう見ても何でもないようには見えないから首を傾げてたら「振られてんじゃん」「だから言ったじゃん気のせいだって」「ざまぁ」って及川の後ろにいた岩泉達がげらげら笑ってて何となく状況を察してしまう。

死んだ顔で「すいませんね、可愛げのない態度と贈り物で」って雛が言うから「いやいやいや!!そんな事言ってな…エッ贈り物?可愛げ無いってどういう…」って慌てた様子で言い訳をしようとした及川が言葉を止めて、首を傾げて持っていた袋の中を覗いて更にびっくり。

袋の中を見て「何で…これ、」って呟く及川に「?何でって…エッ、練習で絶対使いますよね…?消耗品だし、いくらあってもいいかなって…おもったん、ですけど…」って想定していなかったリアクションに戸惑う。雛が及川に渡したのは雛お気に入りのふわふわタオル。

沢山汗を吸ってくれるし、ふわふわで手触りもバッチリなそれは烏野バレー部の皆からもお墨付きを貰っているもの。でも及川のリアクションを見て「アッいや、形に残るものじゃない方が良かったですかね…」って雛が困った顔をしてれば「いやっ、ちが…!ごめん、ほんとに、嬉しい。ありがとう」ってふんわり、本当に嬉しそうに及川が笑う。

その表情の優しさに雛はもちろんのこと、後ろにいた岩泉達もびっくりする。「…よ、喜んでもらえて、良かったです…」って戸惑いながらも言ったら「何で、俺が運動部だって分かったの?」って及川に聞かれて本気で何言ってんだコイツ、みたいな顔を一瞬してしまう雛。

「宮城でバレーやってて、及川さんの事知らない人、あんまりいないと思いますけど」って言ったら「バレーやってて…って、君バレー部なの?」って聞かれるから(アッ気付いてない…?)って目をぱちぱちと瞬かせてしまう。こほん、と態とらしく咳払いをしてから「自己紹介が遅くなりましたね。烏野高校バレー部でマネージャーやってる灯守雛です。先日の練習試合では大変お世話になりました」ってニッコリと微笑めば及川だけじゃなくて岩泉達もギョッッと目を見開く。

「てっきり気付いてて助けてくれたんだと思ってました」ってケロッとした顔で言う雛に及川が「いや、そんなの、気付いてるわけないじゃん…」って頭を抱えて、それを見ていた岩泉達は「な〜るほどね」「そりゃ靡かないわな」「納得したわ」ってうんうん頷いてる。

全然帰る気の無い及川達に「あの、皆さんこれから出かけるんじゃ…?」って聞いたら「ん?別にどこに行かないよ?」ってキョトンと返されるから「ああ…そうですか…じゃあ私はこれで、」って帰ろうとしたら及川に腕を掴まれて「あの、さ!電話の番号!教えてくんない?」って言われる。

今度は雛が(エッッ何で!?)って思いながらも「い、いですけど…」って返したが最後、めちゃめちゃ電話やらメッセージやらが来るようになってちょっとずつ距離を縮めていくし、ついでみたいな感じで岩泉達とも少しづつ交流が増えていくよ。

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