及川から来たメッセージを見て思わずふふって笑ってしまった雛。｢楽しそうだな｣って田中に言われて｢うん。最近メッセージしてる人がすっごいおもしろくて｣って楽しそうにするから｢お前…！まさか彼氏か…！？｣って大声で言われて｢いや、ちが…｣って訂正するより先に体育館に絶叫が響く。
｢は！？雛、彼氏ってマジ！？｣って菅原に迫られて｢いやいや違いますって｣って訂正するけど｢の割には毎日楽しそうにニヤニヤしてスマホ見てんじゃねーか！｣って田中がまた大声で言うから｢うるっさい！ニヤニヤしてないでしょ！？｣って叫び返す。
｢相手は？ウチの奴？それとも他校？｣って菅原がイキイキしながら聞いてくるから｢んもう…皆がよく知ってる人ですよ｣ってスマホの画面を見せたら｢はああああ！！？！？何で及川なんだよ！？｣って菅原の叫び声が響いて、一瞬の沈黙の後、｢はああああああ！！？！？｣って体育館中に響く皆の叫び声。
｢お、及川ァ！？何で…っつーか面識あったのかよ！？｣｢待って待ってどういう状況！？いつの間に連絡先交換してんだよ！？｣って矢継ぎ早に質問が飛んできて｢あー！もう！この間変な人に絡まれてた所を助けてもらっただけです！｣って叫んだら｢……は？｣ってさっきまでニコニコ成り行きを見守っていたはずの澤村の静かな声が響いて固まる。
｢えっと、…あはは｣って笑って誤魔化そうとしたけど｢どういうことだ？｣って聞かれるから恐る恐る先日のナンパ事件のことを全部話す。｢……という、感じで…｣って言ったら｢はぁ…｣ってため息をついてから｢まず、助けてもらったからって、よく知りもしない相手に連絡先を渡すな。2つ目、変な男に絡まれて自分で解決しようとするのは止めなさい。何かあってからじゃ遅いんだぞ｣って言われて、ごもっともな指摘に｢ごめんなさぁい…｣って謝るしかない。
（さすが大地さん…！指摘すべきところをちゃんと分かってる…！）って感動してたら｢…で？及川とはどういう関係？｣ってニッコリ微笑まれて（やっぱり逃げらんないじゃん…！大地さんもそっち側かよ…！）って泣きそうになる。｢いや、別に…何かある訳じゃ…｣ってもごもご話すけど全員のそんな訳ねえだろと言わんばかりの視線が突き刺ささってくる。
｢え…なんか、口説かれてる…？かも、｣って正直に、というか今の状況を説明するのに1番適していそうな言葉を選んだ結果、全員の空気が一瞬で冷え切るから（これは、また言葉選びをミスったのでは…？）ってなる。｢へぇ、ふうん。そっかぁ｣って笑って言う菅原に背中がぞわぞわするし、｢ウチの可愛い後輩に手出しやがって…｣って澤村は怖い顔。
｢あの、まだ手出されてないです｣って冷静にツッコミを入れたら｢まだって何ですか｣って月島の冷静なコメントが飛んでくる。｢ほんとにメッセージだけ？｣って東峰に聞かれるから｢まぁ、出かけようとは言われましたけど…行ったことはないです｣って正直に返したらまた3年ズの空気が冷えるから怖い。
もちろん2年ズも｢あんの優男…ウチの大事なマネージャーにちょっかいかけやがって…｣って全員メラメラ燃えてるからやっぱり怖い。｢次会ったら覚えとけよ｣なんて言う皆がいて、（及川さん、ごめん…なんかみんな打倒及川みたいになってる…）って思わず手を合わせちゃう。
そんなことになっているとは思いもしてない及川が｢へっくしょい！｣ってくしゃみをすれば｢あ？風邪なんか引きやがったらぶっ飛ばすぞクソ｣って岩泉が返して｢誰かが俺の噂を…｣｢いや無い｣｢無いな｣｢無いね｣ってやってる。平和なんだけど平和じゃないんだよね。