小心者の魅せ場

和久谷南戦の時は2階の観客席から見てた雛。澤村と田中の衝突事件が起きた瞬間、階段を駆け下りて体育館に向かう。医務室へと向かう澤村と清水を見送って真っ先に田中の所に行く。「怪我は?」「お、れはねぇ…けど、けど大地さんが…!」「あれは田中のせいじゃない。上から見てたけどしょうがない。だから気にしない!」って不安そうにする田中の背中をばちん!と叩いて気合を入れる。

それから不安気な顔で拳を握りしめる縁下の背中もばちん!!と田中の時より強めに叩く。「い゛ッ!?」って肩を跳ねさせる縁下に「なに情けない顔してんの」ってほっぺを抓る。不安そうに揺れる縁下の目を真っ直ぐ見つめて「カッコイイとこ、見せてよね。私の事、楽しませてくれるんでしょ」って手をぎゅっと握り締める。

何かを言おうとした縁下だったけど、試合開始の笛が鳴ってしまうから話せない。そのまま試合が始まって、しっかり勝って帰ってきた縁下に思い切り駆け寄って飛びつく雛。「ッわ、!?ちょ、雛!?」って狼狽える縁下に「カッコよすぎだよ!ばか!」って泣きそうな、嬉しそうな声で雛が言う。

「…ありがとな、雛」って縁下も泣きそうな、嬉しそうな声で言えば、「でも、かっこよ過ぎてハードル上がってるから次の試合大変だね」ってけらけら笑われて「はぁ!?エッちょ、それ更新されるシステムなの!?」って縁下がびっくりしたら「そりゃそうでしょ。ずっと同じじゃ退屈しちゃうもーん」っていたずらっ子みたいな顔で雛が笑う。

釣られて縁下も「なんだよそれ、」って笑っちゃって。その日はずっと縁下の隣にいてあれこれ話してくれる雛がいて、それに甘えてしれっとメンタル回復する縁下もいる。

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