初手から好感度Maxの合コン

大人になって友人に「お願い!ほんとにいるだけで良いから!」ってお願いされて渋々合コンに参加した雛。「今日マジですごい人来てるから楽しみにしてて」って言われてお店に行ったらめちゃめちゃ見たことある人がいて「「えっ」」って二人の声が重なる。

「知り合い?」って友人に聞かれて「あ、いや…見たこと、あったから…」って誤魔化したけど、どう見ても黒尾で(え、黒尾さん、だよね…?)ってなる。知り合いです感を出さないで話をして席替えのタイミングで隣になった時にこそっと「何してるんですか」って聞いてみる。

「いやこっちのセリフな。雛ちゃん合コンとか参加するタイプじゃないでしょ」って言われて「友人に最初だけいて欲しいって言われちゃってしょうがなくです。黒尾さんこそ、彼女探しですか」って返したらびっくりしたように目を見開いてから「まさか。俺も雛ちゃんと一緒」って困ったように笑ってる。

話を聞けば黒尾を呼ぶって啖呵をきってしまった友人に泣きつかれて渋々来たんだとか。「雛ちゃんお酒飲めるんだな」って笑いながら黒尾がメニューを渡してくれる。「まあ、そこそこ?あ、これおいしそう」「どれ?」「これです。みかんの」「いいじゃん。飲んでみれば?」「でもこっちも気になる…」「…何が違うのこれ」「みかんとオレンジは別物です」「はいはい。じゃあ二個頼んだらいいんじゃない?俺と半分こしましょ」ってあの頃みたいにしょうがないなあって顔で笑った黒尾に頭を撫でられる。

さっきまで初対面ですって顔をしてたくせに顔合わせた瞬間に昔の感覚に戻っちゃう2人に周りは(え…?絶対初めましてじゃなくない…?)と思いつつも2人の雰囲気に口を出せずに見ているだけ。雛を狙ってた男子もいたけど黒尾の牽制に絶対勝てねえって引き下がってることを雛は当然知らない。

「雛ちゃん飯食ってる?」「食べてますよ。黒尾さんこそ、食べてます?」「食べてる食べてる。あ、俺これ食いたい」「どれです?」「これ。美味そうじゃね?」「え、一人で全部食べるんですか?」「そんな訳ないでしょ。シェアしませんかってお誘い」「もうちょっとストレートに言ってくれないと分かりません」「いやいや、雛ちゃんのそれはわざとデショ」「あ、バレてる」

って2人で楽しく話してて、傍から見たらただいちゃついてるようにしか見えない。そのまま席替えも出来ずに二軒目行くか〜って皆が帰る準備始める中、「あ、じゃあ私はこれで」って雛が帰ろうとしたら「俺も帰るわ。明日早いし」って黒尾も手を上げる。

流れるように2人で帰ってくから皆呆気に取られちゃって「あ、うん…またね…」って見送っちゃう。「駅どっち?」って聞いてくれる黒尾が帰り送ってくれようとしてるんだなってすぐに気付くけど「え、良いですよ。まだそんなに遅くないし」って一度は断る雛。

「久しぶりに会えた可愛い後輩ともう少し一緒にいたいんだけど…ダメですかね?」って優しい顔で笑って首を傾げてこっちを見てくる黒尾に雛も断れる訳が無くてお酒が入ってるのもあって「…しょうがないなあ!」って笑って一緒に歩き始める。

黒尾と2人きりになったことで一気に酔いが回った雛がふらふら歩くから黒尾は気が気じゃない。「ちょっとちょっと、お嬢さん。まっすぐ歩いてくださいね〜」って肩を支えてすれ違う人とぶつからないようにしてあげれば「あは、黒尾さんかっこいい〜!」ってきゃらきゃら笑うから黒尾が「はいはい、ありがとうございま〜す」って照れ隠しでそっぽを向く。

黒尾がちょっと歩くの遅れたりすると「あれ、黒尾さん?あ、いた!はやくきて〜!」って立ち止まって振り返って、って言うのをずっと繰り返す雛が犬みたいで可愛くて何回もそれやって遊んでたら「ねえ黒尾さんわざとやってるでしょ!」って怒るから「はは、バレたか」って笑っちゃう。

「はぐれないように手繋いであげましょうか」ってうはうは笑って「冗談で〜〜す!」ってぴょんぴょん飛び跳ねて笑う雛に「…じゃあお願いしてもいい?」って手を差し出したらきょとんと眼を真ん丸にしてからふにゃふにゃ笑って「えへへ、いいですよう」って小さな手でぎゅっと握ってくれるから(あ〜〜〜可愛い)って黒尾は心の中で天を仰いでる。

勿論そのまま家まで送り届けて「黒尾さん泊まってくんじゃないの?リエーフは泊まっていったよ?私も研磨のとこ泊まってるし」ってきょとんとする雛に明日は危機感について説教だな〜と思いつつ据え膳何とやらでちゃっかり泊まる黒尾はいるけど。

top
ALICE+