正面から黒尾が歩いてくるのが見えた雛。｢あ、黒尾さんだ｣って駆け寄ろうとした瞬間コケる。思いっきり足グネってしまって｢い、いたい…｣ってぷるぷる震えてたら｢今思いっきり足イッたよな！？｣って大慌てで黒尾が駆け寄ってくる。
｢こ、こけました…｣って言ったら｢うん。しっかり見てたよ。すっげぇ綺麗にグネったな｣って言われて｢恥ずかしいけどそれより痛すぎて泣きそう｣ってひんひん泣く。｢泣きそうってか泣いてんじゃん｣｢泣いてないです｣｢目に涙溜まってるよ｣｢欠伸です｣｢いつしたのよ｣｢今です｣｢あっそう…｣ってやりとりをしながらも足はずきずき痛んでる。
黒尾に｢ど？歩けそう？｣って聞かれるけど｢たぶんむりです｣って弱々しく答える。｢んじゃ、しょうがないから黒尾さんが運んであげましょっか〜｣ってわざとらしく腕を回した黒尾にひょいっと横抱きにされてびっくりして固まる。｢なっ、なん…なんで、なんですか！｣ってワタワタしたら｢何って、足痛いんでしょ。大人しくしときなさいな｣って言われるけど大人しく出来るわけがない。
｢むり！むりです！無理無理！｣って言ったら｢そんなに無理って言われると傷付くんですケド｣って言われるからきゅっと口を噤む。｢おろしてください｣って両手で顔を覆って言うけど｢1人で歩けるようになってから言ってくださ〜い｣って言われて全然降ろしてもらえない。
｢重いから…絶対重いから…｣って言うけど｢いやいや、全然重くないよ。羽生えてるみたい｣とか言われて｢……嘘くさい！｣って泣き真似したら｢もうちょっと俺の事信用してくれます？オジョーサン｣って言われちゃう。結局保健室まで降ろしてくれないし、帰りも嫌だって言ったのにお姫様抱っこで烏野の所まで連れて行かれて大騒ぎされるから恥ずかしくて｢まじむり死ぬ……黒尾さんのばか……｣って体育館の隅っこで泣くよ。