バレーを嫌いにはなりたくなかった

合宿の時にご飯食べてた雛。「そう言えば、雛さんバレーしてたんですよね?なんで辞めちゃったんですか?」ってリエ−フが皆が気にはなってたけど聞かない方が良いだろうなと思って聞かずにいたことをケロッとぶっ込んじゃって食堂が静まり返る。

「あれ?これ聞いちゃいけないやつでした?」って言うリエ−フに「あはは、全然いいよ別に。もう昔の話だし」って雛はけらけら笑うけどリエ−フは夜久に思いっきり引っぱたかれる。「ほんとに、昔の話だからもう全然気にしてないんだけど…」って前置きの元話された雛のバレー部時代。

強くもなく弱くもなく。ごく一般的なバレー部だった雛。チームメイトは本気で勝ちを狙っている訳では無く、たかだか部活。だからこそ、一生懸命頑張って、努力して、周りから評価を受ける雛が気に入らなかった。ただ、それだけ。ちょっと無視してやろう。ちょっと、弄ってやろう。

その気持ちがどんどんエスカレートして、引っ込みが付かなくなった。「私が触れたボールに、誰も触れなくなったの。頑張っても、頑張っても、誰も応えてくれなかった。楽しかったはずのバレーが、楽しくなくて、でも、嫌いにはなりたくなかったから」だから、辞めたの。

そう言って困ったように笑う雛に、誰も、何も言えなかった。聞いた張本人のリエーフも「あ、の…すみません、変なこと、聞いちゃって…」ってしょんぼりしてるから「でも、ほんとにもう平気なの。辞めたお陰で、今、楽しいから」って笑った雛に西谷がぐっと拳を握り締めて立ち上がる。

「雛!!約束、忘れんなよ!!」って手をグーにして雛に向けた西谷に続いた田中が「だな。今は俺らがチームメイトだ」って同じように手をグーにして雛に向ける。縁下や成田、木下も同じように手をグーにして雛に向けるから、思わず口を開けてぽかんとしてしまう。

「うん…そう、だね…ッ、そうだね、」ってぽろぽろ涙を流して手をグーにした雛が皆とこつんと拳を合わせる。そのまま泣き崩れてしまった雛に駆け寄った2年ズは(もう二度とコイツにバレーが楽しくないなんて言わせない)って胸に誓うし、烏野は勿論、その場にいた皆が(絶対バレーやってて良かったって思わせてやる)って俄然燃え上がる。

もちろん事の発端だったリエ−フは見たことないくらいしょんぼりしてるし、何なら泣きそうになってて「雛さん、おれ…」って言うから「リエ−フのせいじゃないってば」って雛が笑う。「いっぱいスパイク決めて、いっぱいブロックして、私に楽しい試合、いっぱい見せて?約束」って小指を出して笑う雛に「〜〜ッ!任せてください!俺!雛さんのこと、絶対絶対楽しいって思わせます!!」って言って小指を絡めてくれるから「ふふ、楽しみにしてるね」って嬉しくなる。

top
ALICE+