後0cm

「彩っち!」
「涼太、遅い」
「いやー、女の子達に囲まれて…って彩っち!?」
「帰る」
「ああああ!ごめん!ごめん冗談っスから!」
「どうせ可愛い女の子に鼻の下伸ばしてんでしょ」
「してない!してないっスから!」

約束の時間から5分ほど遅れてやってきた黄瀬がヘラリと笑って言い訳をする。黄瀬の言い訳を最後まで聞かずに黄瀬に背中を向ける彩の腕を掴む。むすりと不機嫌そうな顔をする彩に内心可愛い、とテンションが上がりながらも彩のご機嫌をとるべく、必死になる。

「俺が鼻の下伸ばすのなんか彩っちだけっスよ」
「それはそれでキモい」
「ひどっ!?」
「…早く行くよ」
「ちょ、待って!彩っち!」

急に真顔になって訳の分からないことを言い出す黄瀬に、彩が引いたような目をする。大袈裟にひどい!と泣き真似をする黄瀬を置いて彩が歩き出すとバタバタと彩を追いかけてくる。そんな黄瀬に笑いかけて彩が手を伸ばす。その手を掴んで、黄瀬が指を絡めた。

〜Fin〜

2017/1/11 執筆

ALICE+