中学時代
それは名前が一年で、牛島が既に三年になっていた時の3月の出来事。幼馴染の2人は互いに気兼ねなく話しかけることができる仲だった。
『若利君ー』
「どうした」
『いたから、呼んでみた!』
「そうか」
いつもこのような感じで緩い会話がなされる。
『あ、若利君。やっぱり今、用事思い出した』
「なんだ」
『今日は久しぶりに若利君のお家と私のお家で合同で鍋パーティーだって!』
鍋パーティーの目的は、牛島の卒業祝いだ。牛島は4月から白鳥沢高等部に入学する。県内で最も強いと言われているバレー部があるところだ。もちろん牛島もその高等部のバレー部に入部することは、中学でバレー部に入部した時から決まっている。
元々古くから付き合いのあった牛島家と苗字家は、度々祝い事がある度にこうして催し事を開催していた。本当に些細なものだが。
『お母さんがね、いっぱい食べて欲しいって言ってた』
「そうか、ありがたいな」
『若利君は育ち盛りだもんね。羨ましいなぁ』
「何がだ」
『身長もっともっと伸びていくでしょう?私はきっとこれからもあんまり大きくならないよ…』
しょんぼりしだした名前を見た牛島は衝動的に彼女の小さな頭に自らの大きな手を乗せていた。
「お前はこれくらいが丁度いいんじゃないか」
そしてそのまま頭をポンポンと撫で始める。牛島は嘘を言えないタイプの人間なので今の言葉は必然的に本心からくるセリフだった。名前はそれを目を閉じて味わう。
『なんか若利君に言ってもらうと、すっごく嬉しい!』
名前も本当に思った言葉を言った。牛島が嘘をつかない人間だということを、長年の付き合いを通して気づいてきた名前にとって、彼の言葉は信憑性があった。
『きっと、高等部に入学したら、あんまり会えなくなっちゃうね』
「二年我慢すればまた会えるだろう」
それは彼女も白鳥沢高等部に入学した場合の話だ。牛島自身は名前が白鳥沢高等部に入学するものだと思っていたし、彼女自身もそこへの入学を希望していた。だが、彼女の両親の近場の職場での異動によってその夢は儚く散ることになる。
牛島が3年になった四月。いざ入学式になったとき、点呼で彼女の名前が呼ばれなかったことだけが気がかりだった。
だが、やっと見つけた。ついこの間ランニングの途中で彼女の姿を確認した。牛島は今まで彼女がいなかった時の虚無感が一気に振り払われた。その時名前の存在の大切さを知るのだった。
リクエスト:華様より
ほのぼのになりませんでした(テヘペロ)