『リエーフ君、ボール届かないよ〜…』
「ん?ほれ」
高いところに挟まったボールを、必死に手伸ばしてとろうとするが、名前の身長では届きそうもない。が、通りかかったリエーフ軽々とボールを取り、それを見上げた彼女に渡した。
『どうしてそんなに身長大きいの〜!』
名前は唐突に怒りだした。怒りと言うには大袈裟だが、頬をリスのように膨らませている。
「どうしてって、多分遺伝の関係じゃねーかな」
『やっぱり遺伝かぁ。…じゃあどうしようもならないね』
「それよりさ!今からスパイク練習したいんだけど、ボール出してくんね!?」
『うん、いいよ!』
名前はボールの入ったカゴを持ってリエーフの元に駆け寄った。これはこの合宿の主催者である梟谷学園が用意したボールだ。ほぼ新品のようにすり減りが少ない。
『リエーフ君は高校からバレーを始めたんだよね?』
「そうだけど」
スパイクを打っては戻り、打っては戻りの繰り返し。その間にちょっと会話を挟む感じで練習をする。
『じゃあすごい運動神経いいんだね』
「でもまだレシーブが巧くないから、先輩方にいびられてばっかだけど」
『ううん、リエーフ君は凄いよ!相手コートにいるのが怖いくらい』
「じゃあ同じコートに立てばいいんじゃね?」
リエーフはスパイクの動きを止めて、名前の元へ大股で近づく。
「名前がいれば、よくわかんねーけど何時もより巧くできそうだし」
純粋無垢とはたまに恐ろしい力を発揮する。例えば今のリエーフのように、とんでも発言を平然と言ってのける。当然無意識だろうが、リエーフの発言は名前の胸に突き刺さった。
純粋に嬉しかったのだ。自分を求めてくれたことが。
『あり、…がとう。すっごく嬉しい、です』
名前は次にリエーフが打つはずだったボールを顔の前に寄せる。自分が照れているのをバレないようにするためだ。その様子を見たリエーフは語り出した。
「名前ってなんかに似てるよな」
どうせヒヨコなんだろう、と半ばあきらめ気味にそう思っていた名前。
「あれだな、リス…」
リス、初めて出てくる動物に期待をした。初めてだ、ヒヨコだと言われなかったのは。しみじみ感動に浸っていると
「いや、やっぱヒヨコだな」
結局はヒヨコだった。一瞬の希望はあっさり打ち砕かれた。
「さっき照れてた顔、本物のひよこと同じくらい可愛いかったぜ!」
やはり純粋は怖い。名前はしみじみそう感じたのだった。
リクエスト:ころも様より
リエーフちゃんの口調が行方不明です。