休日、みんなで仁花ちゃんのお家に潜入して、一緒にお勉強をしました。仁花ちゃんのお部屋は広くていい匂いがしました。それと同時に感じたことは、翔陽君と飛雄君の勉強がちょっと破滅的だったこと。そこまでかっ!と思わず声を上げてしまうところだった。しかしここでめげてはいけない。何度も繰り返し教えればきっと理解してくれるはずだ。
「谷地さん土曜なのにアリガトな!!これでテストバッチリだよ、たぶん!!」
「あざす」
仁花ちゃんの自宅から出てきた翔陽君はさっそくお礼を言っていた。飛雄君もそれに便乗する形でお礼を言っている。偉い偉い。だけどまだ心配な点があるのは否めない。
『仁花ちゃんのお家に来れて嬉しかった。…また、遊びに来てもいいかな?』
「う、うん!遊びに来て!」
やった、約束したぞー!仁花ちゃんといるとなんだか心安らぐんだよなぁ。きっと癒し系なんだな。これからは、卒業するまでずっと一緒かぁ。そう考えると相当長い時間一緒にいることになる。仁花ちゃんとだったら、たぶん上手くやっていけるはずだ。
「…なぁ、この辺って白鳥沢の近くだよな」
「あっ、うん。確かうちから二駅先くらいにあったと思うよ、白鳥沢」
そう言えばそうだった。若利君は、よくこの辺に走りにきていたと言っていた。へへ、懐かしいなぁ。元気にしてるかなぁ?
「白鳥沢って"ウシワカ"の?」
「俺に何か用か」
ん?幻聴だ。私たちはぎこちなく声のした方へ向く。そこには長身の男の人が立っていましたよ。それも若利君のソックリさんのようです。……ううん、この声の感じも顔の感じも、あの頃とほぼ変わらない。
『わ、若利君…』
「…お前は」
もう忘れちゃったかな。そりゃ、よく遊んだのは、結構前の話だったけどさ。でも、ちょっとは期待しちゃう。私も、あの頃とは何も変わってないと思うし、きっと覚えていてくれてるよね。最後に会ったのは、私と若利君が白鳥沢の中等部にいたときだから、会ってない期間はたったの2年くらいだし。
「名前か、久しぶりだな」
『覚えててくれてたんだね!』
「忘れるわけがないだろう」
若利君は無表情で私に近づき、ただ手を私の頭の上に置いた。私はなんの抵抗もせず、ただその大きい手を受け止めた。昔から彼に頭を撫でられるのが本当に特別大好きだった。上手い下手ではなく、温かかった。
「え、何?名前ちゃんってウシワカと知り合いなの!?」
『ん?言ってなかった?』
「初めて聞いたぞ」
『若利君は私の幼馴染みなんだよ』
そう聞いた二人の口はあんぐりと開いていた。仁花ちゃんに関しては何が何だか分からないようだった。それもそのはず、谷地ちゃんは他校のバレーボール選手の存在を、あまり詳しく知らないはずだからだ。今バレーを知ったばかりの彼女にとっては、まだ未知の領域なんだろう。
でも、こんな何でもない日に彼に会えるなんて、世間は狭いんだなって思った。