とみー様
【ifで黒尾と恋人】
夕食を食べ終わりくつろいでいるところだった。彼女が食器を洗ってくれ、再びまったりする時間ができたが、あと1時間後に見たい番組が始まるという事もあって、風呂に入らなければいけない。そんな時、名前をみて閃いた。
「風呂、一緒に入るか?」
前に何度か入ったことがある。たまーに、スイッチが入ることがあるが、基本は穏やかだ。
半分冗談で言ったつもりだった。
『入ります〜』
「!!」
入るか入らないか、二択の選択肢のうち予想外の方を選んだ。
『あ、あ!!!違います!間違いました!お先にどうぞ!!』
先ほど確かに彼女はボーッとしていた。しかしここまで無意識だったとすると将来が心配だ。
「そんなに俺と入りたかったのか〜?」
しかしここで可愛がってやらない手はない。
『……絶対やです』
「どうしても?」
『はい、やです!!』
「そこまで拒否されると流石に傷つくな」
実際はそこまで傷ついていない。断られることは想定済みだったし。寧ろ元気に一緒に入りましょうなんて言われた日には空から槍が降ってくるに違いない。
『だって、お風呂一緒にはいると、へ、変な事してくるんですもん!』
彼女が必死に弁解するところを見て、悪戯心が芽生える。
「変な事って例えば?」
ここぞとばかりに彼女を追いつめるような言葉を発する。きっと言葉に詰まるか、赤面して何も答えられなくなるかの二択だ。
『胸を触ってきたり……、』
「きたり?」
まだ言葉が続くようなので待っていると、視線を思い切り下に逸らして、唇をキュッと結んでいる。
『……言わせないでくださいよぅ』
その潤んだ瞳が余計に加虐心を助長していることを彼女は知らないのだ。微かに下がる眉も、可愛いとしか思えない。
俄然一緒に風呂に入りたい。
「あーあ、一緒に入らねぇんなら、明日デートいかねーわ」
『…え』
「残念だなー、楽しみにしてたのに」
最終手段。
この手を使えば十中八九イケる。何故ならば、俺のバレーが忙しすぎるあまり、デートは3ヶ月ぶりだからだ。定期的に会ってはいたが、長い休みはなかった。
よって相当楽しみにしていたはずだ。本当に落ち込んだ振りをすればなお良し。
『…絶対変な事しませんか?』
このセリフが出てきたら、もう成功も同然だ。相変わらず単純で可愛い。
「しない」
『絶対の絶対ですか!』
「しないって」
『じゃあ、……入ります。変な事したら、今日帰りますから!』
「へいへい、わかってるよ」
怒っている顔も中々可愛い。完全に虜だ。
どんなにスタイルがよい女でも、テレビで人気な女優でも駄目だ。
俺は結局こいつじゃねぇと駄目なんだな。
『早く行きましょう…?鉄朗先輩』
身長差の影響で上目遣いになっているのを見て、抱きしめるどころかキスをしたくなった。返事を待たずに名前を引き寄せ、唇に自分の唇を寄せた。
『えぇぅ!?』
「ごちそーさま」
彼女にあんな事を言った後で悪いんですけど…、えぇ、男の性ってやつですよ。
純粋に俺を信じているであろう彼女は知らない。
この後待ち受けている事を。