春高宮城県代表決定戦 2日目
昨日の試合で勝利した合計8チームが争う今日。
烏野vs和久南 試合開始
さすが完成度の高い和久南。熟練された動きで点を重ねている。
そして、どんな攻撃も慌てず騒がず落ち着いてる。翔陽君と飛雄君が一発目にかました速攻に慌てない冷静さにさすがの一言につきる。
そして注目すべきは相手のウィングスパイカー 中島猛選手だ。今日のチームの中で彼がとても厄介な存在と言える。通常のバレー選手に比べると身長はないが、空中戦のテクニックが半端ない。対戦相手は彼を中心に今まで勝ち進んできたのだろう。
そして、試合は翔陽君と相手のキャプテン中島さんの点の取り合いになる。和久南はしっかりと翔陽君の対策をしてきているのが分かる。しかし、それこそが本来の狙いなのだ。
翔陽君は最強の囮。
翔陽君だけに目を向けていると、雑食の烏に隙から“食いつくされる”。相手の集中が翔陽君に向いたその瞬間、レフトからアサヒ先輩の強烈なスパイクが放たれる。
アサヒ先輩を積極的に使いつつ、徐々に点差を広げる烏野高校。
しかし、そこからお互いになかなか点差はつかず、シーソーゲームにもつれ込む。そして、その日一番長いラリーの応酬が始まった。
中島さんのブロックアウトを澤村先輩がファインレシーブし、それを西谷先輩が繋ぎ、田中先輩が返したが、そこで澤村先輩と田中先輩がものすごい音を立てて接触してしまい、澤村先輩がコート上に倒れ込んだ。それは本当に一瞬の出来事で、即座に状況を判断することはできなかった。
そして、痛そうな表情でなんとか立ち上がる澤村先輩に武田先生と烏養コーチが駆け寄る。
「どこ打った!?」
「か…顔?」
「澤村君!今いる場所は?」
「?仙台市体育館です」
「今の対戦相手は?」
「わ…和久南です。俺は大丈夫です」
「でも頭を打った様なのでとりあえず医務室へ。大丈夫であることを確認して来なさい。それが試合へ戻る最短の道です」
下では武田先生の冷静な対応がおこなわれている。澤村先輩は気丈にふるまってはいるが、相当痛いはずだ。それにチームでの自分の役割を理解しているからこそ、その判断に素直に従うことができないようだった。
『澤村先輩、大丈夫かな…』
「大事にならなきゃいいね」
先輩が医務室に向かったようなので私たちもそこに向かわなければならない。
澤村先輩がコートからいなくなった今、代わりを務めるのは彼しかいない。
『なんとか繋いでください…、縁下先輩』
私は縁下先輩がコートに入っていくのを確認してから医務室へ向かった。
縁下先輩は地道にそつなくこなす人だった。派手なプレーはないけど、堅実で、どこか澤村先輩のような安心感もあった。
私は縁下先輩の地道な努力を知っている。心の強さも知っている。
彼ならば任せられる。コート上の味方の誰もがそう思っているはずだ。
澤村先輩の代わりは縁下先輩しかいない。