ひよこが駆け巡る!





あの後、トイレに行った翔陽君は中々帰ってこなかった。

ようやく帰ってきたと思っても、その後の田中先輩の無意識なプレッシャーによって、またお腹が痛くなったらしく、再びトイレに駆け込んだ。

うーん、大丈夫かな…。


私は様子が気になったので思い切って、翔陽君を迎えに行くことにした。ついでに呼び戻してこいという使命も課せられました。

「でもトスだけは最悪」
「でトスがとくにすげぇ」

角を曲がる前、そんなセリフが聞こえてきた。内容が全く読めない。トスって言ったからセッターの人のことだろうと想像がつくけど、翔陽君ともう一人の声の主が分からない。


『翔陽君〜、大丈夫だった?』

話している途中で悪いけど、一応翔陽君を連れ戻すという使命の元やってきたわけだから、気にしてはいられない。ズガズガと翔陽君の元へいく。

「名前ちゃん!」
『先輩達が心配してるし、そろそろ戻ろうー』
「あ、でもちょっと待って」
「(ちっちぇ…)あいつは自己チューの王様だからな。セッターのくせにスパイカーに"打たせる"っていう当然のことができてねぇんだ。」


あれ、もしかして影山君の同中の方ですか?王様というワードを聞いて閃いた。うん、多分同中の人だ。

「影山にとって必要なのは自分の思い通りに動く"駒"なんだよ。自分が勝つために要らないモノは_"ポイ"」

ちょっとオーバー過ぎる表現なんじゃないだろうか。中学校の時どうであったかは全く分からないけど、影山君だって成長しているのだ。これまでの影山君じゃない。きっと同中の人を見返せる。そう、このラッキョウさんも例外ではない。


『私が口を出していいのか分かりませんが…、きっと影山君だって成長していると、おもっ、思います』

はぁ〜、また余計なことをしてしまった。毎度毎度言った後に後悔する。しかも若干噛んじゃったし。私は相当な世話焼きなのだろうか。自分の将来が心配になってしまう。

「へぇ、それじゃあ楽しみにさせてもらうぜ」

ニヤリと笑ったラッキョウさんと初めて視線があった。少し馬鹿にしたような笑みだった。試合するのは私ではないのは分かっているが、見返してやりたい。

『はい!私も青城との試合凄く楽しみにしてます』

交わっていた視線が途端に逸れて、ラッキョウさんはソッポをむいた。最近目を逸らされる事が多い。もしや私の目から何か特殊なビームが放たれているとかいないとか。それか、こいつじゃ話になんねぇぜ、ふん!みたいな気持ちにさせてしまっているとか。

いずれにせよ私はなめられているようです。

(遅かったな金田一)
(…あっちのチームに小学生とかいないっすよね)
(は?)

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