全然緊張の解れない翔陽君を見て心配に思った潔子先輩が、彼を励ますところまでは良かったけど、余計彼の緊張度が増してしまった。
ここでも潔子先輩の美しさは罪だと思い知らされた。私がどんなに励ましても翔陽君がパンクすることはなかったから、潔子先輩がどれほど可憐かが伺える。
兎に角、言葉では表せないほど潔子先輩は魅力的なのだ。
と彼女の魅力について熱弁している間にも試合は進んでいる。自信ありありだったラッキョウさんの実力も中々のもので、言うだけあるなと思った。その他の人も、個人個人の技術が凄いなと感じた。伊達にベスト4張ってない。バレーに関して初心者である私が見ても分かるくらいに青城は強い。リードするような展開にはならないけど、それに負けじと必死に喰らい付いている感じの烏野。
これは面白い試合だ。
そう思いながら試合を見ていると、次は翔陽君のサーブだった。彼の緊張はまだ解けていない様子だ。
バチコーーーーーン!
ある瞬間、緊張続行中の翔陽君が放ったサーブが影山君の後頭部に直撃した。それはそれはものすごい音だった。やってしまったと悟った翔陽君の表現が、なんともいえない雰囲気を醸し出している。影山君の後頭部は無事だろうか。
これは誰から見ても翔陽君が緊張しているのが分かった。もはや緊張のレベル超えちゃってる気がするけど。
『影……!』
後頭部のダメージを心配して声をかけようとしたら、影山君による無言の圧力でそれは叶わなかった。迫り来る影山君の迫力に、後退りする翔陽君はどんどん壁に追い込まれる。
影山君の目がとても怖い。あんな表情初めて見た。
大変だ、とは思ったけど誰にも止められない。
そしてビビりまくる翔陽君のトドメを刺す、影山君のトラウマになりそうな圧迫感。自分の後頭部をベシベシ叩きながらジッと翔陽君を見つめる。どんなに謝っても許してはくれなそうだ。
「とっとと通常運行に戻れ!バカヤローー!!」
影山君の怒号で、翔陽君の顔色がすっかり良くなった。一周回ってなんで俺は緊張してたんだ、みたいな顔をしている。良かった、良かった元に戻ってくれて。
翔陽君が怯んでいた間に、結局1セット取られてしまった。インターバルということで選手がベンチに戻ってくる。
『影山君のおかげで翔陽君が元に戻ったね!』
「あいつには最初っからあれだけ言っとけば良かったんだ」
否定はできない。でも、流石に影山君のあの表情は私でもトラウマになりそうだ。思い出すだけで体が震える。
「………どうした?」
『ううん!何でもないよ!』
影山君の顔をじっと見ていると、不思議がった彼が話しかけてくるけど、先ほどの顔を思い出して、縮み上がりそうになった。今こそ影山君は通常運行だけど、……さっきの表情が怖すぎる!
私は一生影山君を怒らせないと誓った。