ひよこが駆け巡る!





わざわざ学校に迎えに来てくれた冴子お姉さんの車に乗って、東京へ向かう。

車に同乗中、小さな巨人について少し詳しく聞いた。冴子お姉さんは小さな巨人と同級生らしい。

ただお姉さんのお話を聞いただけではその人がどういう人かも分からない。そもそも小さな巨人ってどういう人なんだろう。烏野を一躍有名にした凄い人ってことは知っているし、翔陽君の憧れだってことも知っている。でもそんなに才能がある人ならどうして今もバレーを続けていないんだろう。もしかしたらどこかでバレーを続けているかもしれないけど、今、その名前は全くと言っていいほど聞かない。

いろいろなお話をしていると、冴子お姉さんらしい力強い運転で飛ばしてきたおかげで東京なんてあっという間だった。

「っさ、着いた!」
「「あぁーっす!」」
『冴子お姉さん、ここまでありがとうございました!』
「いいっていいって!それより早く行くよ」
『はい!』

時刻はすっかり夕方になってしまっているけど、まだ練習試合をしているだろうか。四人で急いで出入り口に向かう。そして体育館に到着すると、冴子お姉さんが先導を切ってドアを開ける。

「おっ、まだやってんじゃん。間に合ったね」
「姐さんっ」
「エッ、西谷のお姉さん!?」
「いえ、龍のです!」
「確かに…似てる」

そんな会話が中から聞こえてきた。私は、一番後ろにいたため、まだ中の状況を把握していない。

「"主役"は遅れて登場ってか?ハラ立つわ〜」

私も中の状況が知りたくて、ピョコっと顔を出す。すると、さっき冴子お姉さんが勢いよく扉を開いたためか、中にいた選手の視線がほぼこちらを向いていた。こんな時間に誰だよ、という視線を感じました。私はいたたまれなくなって、すぐさま顔を隠した。

周りを纏う雰囲気がいつもと違って、身を縮めたくなった。でも決心しなきゃ始まらないと思って、翔陽君や飛雄君に次いで体育館に入っていく。二人は着替えるべく、風のようにその場を去った。

「うぉーーー、とうとう名前ちゃんも来たか!」
『た、田中先輩ぃ、西谷先輩ぃ…』

でもやっぱり周りを見回せば巨人ばかりで、ちょっと怖い。威圧感が半端ない。こういう時は知り合いに頼るのが一番だと思って、一番近くにいた田中先輩と西谷先輩の元へ駆ける。

すると二人は満足そうに拳を握って震えていた。

『先輩…?』
「苗字はこっちに来ようか〜」
「こうなったあいつらは手遅れだからなぁ〜」
「よっぽど嬉しいんだろな」

呆れ顔の澤村先輩と苦笑いの菅原先輩、そしていつものように二人をほのぼの見守るアサヒ先輩。

本当に家族みたいな温かい人たちだなと思った。

(名前ちゃんに頼られた…!)
(この感じ…、いい、いいぞ!!)

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