ご飯を食べるための食堂は、いつもより数倍賑やかな雰囲気の場所だった。これだけ人数がいれば確かに賑わうよなぁ。今回合宿に参加しているのは一校や二校ではない。
多い方が楽しいだろうし、何も不満はない。
仁花ちゃんや潔子先輩、そして他校のマネージャーのみなさんがそろっていた席に着くと、そこは和やかで華やかな雰囲気につつまれていた。やはり女子が揃うと、男子のとはまた違う雰囲気を味わえる。この空間はとてもほんわかした感じだ。
「遅かったね」
『少し話し込んでしまいました』
潔子先輩が心配してくださっている。ハウァ〜〜、幸せです。こんなにも麗しいお方に心配される私は幸せ者です。
果たして私はこのような素敵な場所で食事をしてもいいのだろうか。年上の先輩に失礼かもしれないが、可愛らしい系と美人さん系の方々に囲まれて眼福だ。
『私、お水取ってくるね!』
「いってらっしゃい」
少々出遅れてしまったので、少しでも遅れを取り戻さねばならない。仁花ちゃんに一言告げてから急いで給水器ところに走る。っと、走ったら迷惑になるから早歩きにしないと。
『うわっ!』
ぶつからないように周りをみていたつもりなのに、案の定衝突事故が勃発した。この衝突事件は何度目だろうか。金田一君や二口さんなど、私は一か月に一度は誰かに衝突しなければいけない人間なのか。私は誰かに衝突する星の元に生まれてきてしまったのではないだろうか。どういう星かは分からないけど。
そして、私の方からぶつかっていったのに、相手はびくともしていない。私はここまで非力だったのね……。
『あ、あのお怪我はありませんか!?』
怪我はないと思うけど、念のため聞いてみる。ちなみに私は衝撃の割にはピンピンしている。
「おう!お前はさっきの烏野のマネージャーか!?」
『はい!』
「名前、だったか?」
『そうですー!』
相手は先ほどパワフルなプレーを見せていた木兎さんだった。どうやら目的は私と一緒だったらしい。空いたコップを持って水を注いでいる。
「練習後はどうも喉が渇くんだよ」
『あんな素晴らしいプレーをしていたら、疲れちゃいますよ』
試合風景を思い出しながら語る。本当にダイナミックなプレーが目立った。
「素晴らしいって言ったか?」
『…?はい、とても素晴らしいと思います!バレーしたことないけど憧れちゃいます』
「…そうだろうそうだろう!そう思うだろう!」
木兎さんのテンションが上がりに上がり始めた。バレーが大好きみたいだから、きっとバレーの話を出来たのが嬉しいんだろう。
木兎さんは新しいおもちゃを見つけた子供のようにはしゃいでいるように見えた。それを見て私まで嬉しくなっちゃうから不思議なものだ。
彼は自然と人を惹きつけるすごい人なのかもしれない。