ひよこが駆け巡る!





宮城から東京まではそんなに近くない。1時間や2時間で着く距離ではない。

だから、合宿の開始時刻に間に合うように深夜からバスを走らせて、朝日が昇る頃には東京に着いていた。

東京には見たこともないようないろいろな建物がある。私が1人で来たら確実に迷子になる迷宮に見える。…1人では来ない様にしよう。

私たちは、目的地に着いてから音駒の皆さんと合流する予定だ。

バスで信じられないほど熟睡した私は、潔子先輩に起こしていただけるという麗しゅう朝を迎えました。ちなみに私の隣は仁花ちゃんで、潔子先輩は誰にも邪魔されることなくお一人で眠りにつかれました。

『んー、良い天気!』

「んおわー!朝だー!」

バスを降りてから早速伸びをする。隣では同じ様に翔陽君も伸びていた。とても清々しい朝に深呼吸をする。

「チビちゃんズは息ぴったりだな〜」

すると烏野の人物ではない声がどこからともなく聞こえてきた。この声は聞いたことがある。

『黒尾さん!』
「名前チャン。久しぶり〜」

やはり声の主は予想通りに黒尾さんだった。約束した通り、私たちを迎えに来てくれたらしい。正直、私たちの中に、東京に土地勘がある人はいないので非常に助かる。

翔陽君は、周りの風景を興奮気味に見に行ってしまった。今日も元気だなぁ。


『はい、お久しぶりです〜!』
「相変わらず丁度良いところに頭あるよな〜」
『うわー、グリングリンしないでください〜』

ただでさえ真っ直ぐではない髪が余計にグチャグチャになってしまう。

「クロ、もうやめてあげたら?」
『研磨さん、もっと言ってください!』
「しょうがねぇだろ、そこに頭があるんだから」
『そこに山があるから的なノリで言わないでください〜』

グリングリンを止めてくれる気配はなく。ただひたすらに撫でられる。もはや撫でるというより攻撃だ。研磨さんのお声も虚しく、黒尾さんの攻撃は続く。今の寝起きの私は防御力ゼロの状態である。

『痛いです!怒りますよ!』

もうただでおくわけにはいかない。ここはガツンと言わねば。

「名前チャン、怒っても怖くなさそうだわ」
『何を〜!やめてください!じゃないと黒尾さんの頭もグリグリします!』
「その身長でできるのか〜?」
『できません!しゃがんでください!』

黒尾さんが噴き出した、爽やかな朝です。さて、今回の東京遠征はどんな試練が待ち受けているのでしょうか。今からワクワクです!

後々気づいたがここは埼玉らしい。

(うちのマネがいじめられてる…)
(でも、ちょっと可愛いよな)
(ちょっとだけ、見てよ)

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