今回の合宿は、埼玉の森然高校で行われます。
「前回とは違う高校でやるんだな!」
「夏合宿はいつも森然でやるみたい。涼しいんだ、ココ。虫が多いけど」
研磨さんによると、毎回グループ内の高校が持ち回りで場所を提供しているらしい。
『そうなんですか、いいところですね森然』
「日向〜!」
すると、遠くから勢いのある声が。リエーフ君だろう。リエーフ君は翔陽君に身長伸びたかと聞いたが、たった2週間で伸びるはずがないだろう。と思っていたら彼は2mm伸びたらしい。遺伝なの?遺伝がものを言うの!?
『身長がなくても生きていける……!』
自分で自分に言い聞かせる。そもそも身長が必要なのは私ではなく選手だ。もちろん身長がなくてもできることは沢山あるから、気にしない気にしない!
「何言ってるの?」
研磨さんが覗き込む様に問いかけてきた。
『180cmの私なんて気持ち悪いですよね!』
「どうしたの急に」
『少々身長に悩みがありまして』
とはいうものの、平均身長より少し小さいくらいで、仁花ちゃんよりは大きいはずだ。それに、前は飛雄君はそのままでいいって言ってくれたから気にしない様にはしているんだけど、いざ、身長の大きい人に囲まれると身長が気になって仕方がない。だから研磨さんが特別小さいわけじゃないけど、
『研磨さんの隣ってなんだか落ち着きますね』
なんだか気を張らなくてもいい場所を見つけてしまった。
「それは、どうかな」
『落ち着きますよ!えっとですね、スライムが仲間になる時くらい落ち着きます』
確か、研磨さんはゲームが好きらしいから、私の知っている某ゲームの例えを使ってみた。
「?よく分からないけど、クロにいじめられたらおいで」
『はい、来ます!来たら助けてくださいね』
研磨さん、いい人だ。翔陽君が懐くのが分かる。私は上手く絆されてしまいそうだ。
「名前ちゃん!行こう!」
『うん、今行く!』
興奮気味に先を歩く翔陽君に呼ばれた。そろそろ練習試合が始まる時間だ。私は研磨さんの先を行く。
『あ、でも会いたくなったら会いに来ますね』
一瞬だけ振り向いてそう言い残した。
「おや〜、研磨クン、何の話をしていたのかな〜」
名前が去ったあと、ニヤニヤしながら黒尾が研磨に話しかける。
「クロには関係あるけど、関係ない話」
「なんだよそれ!気になるじゃん!教えろよ」
「…めんどくさい」
「こら、教えないと名前チャンに聞くぞ!」
「多分名前も言わないと思うけど」
「お前らいつからそんな仲だったんだ!俺だけ仲間はずれ!反対!」
「うるさい」
という会話がなされていた事は、試合の準備中だった名前は知らない。