「名前ーーー!」
『木兎さんーーーー!』
木兎さんの大きな声が聞こえる。その声は私の名前を呼んでいる。前回、またお話をしましょうと約束をしていたため、積極的に話しかけに行く。木兎さんのテンションが高いと私の方もテンションがあがる。
「木兎さんうるさすぎです」
『赤葦さんもお久しぶりです!』
そして前回、私が鼻血を出した時にお世話になった赤葦さんもいる。あれから流れ弾をさらりと躱す術を習得した私に怖いものなんてない、と思いたい。
『また木兎さんのパワフルなプレーを見ることができるって思うとワクワクします!』
「そうだろうそうだろう!やっぱり名前は俺のこと分かってるな」
『本当のことしか言ってませんから!』
木兎さんのプレーは凄いことだらけ。見ているだけでワクワクしたり、ハラハラしたりできるなんて凄いと思う。
『でもウチも負けません!また1週間よろしくお願いします!』
「俺たちだって負けねーぞ!おっしゃーアップだアップ!」
木兎さんはやる気満々で練習の準備中へ向かった。
『すごい元気だぁ』
「木兎さん、ああなると手つけられないんだよ。やる気スイッチ入ったな、アレは」
『え、何処にあったんですか!やる気スイッチ』
「場所は分からないけど、名前が押したんだと思うよ」
『私ですか?』
って言うか呼び捨て!まだ呼び捨てで呼ばれることになれない。今まではちゃん付け、もしくは苗字呼びが圧倒的に多かったから、いざ呼ばれると恥ずかしい。
しかし試合前にスイッチを入れてしまうとは、やってはいけないことをやってしまった感がある。
『ど、どうすればoffになりますか』
「ああ見えて意外とメンタル弱いから、烏野が木兎さんを封じればすぐしょぼくれるよ。」
『なるほど…、ってそれ言って良かったんですか!』
「まぁ、あくまで木兎さんを止められればの話だから」
これは挑発として受け取っていいのだろうか。赤葦さんはそういうタイプに見えなかったから意外だ。
しかしこれに乗らない手は無い。私達は何度も勝負を挑んで強くなっていくんだ。
『試合に出るのは私じゃないですけど、合宿中、木兎さんを絶対にしょぼくれさせます!』
「それは面倒だから阻止しないとね」
赤葦さんは笑った。よっぽど木兎さんを信じているのか分からないが、自信があるようだ。私は、こんなにも赤葦さんに信頼されている木兎さんがちょっとだけ羨ましくなった。
しかし、私はどうやってやる気スイッチを入れたのか。そして、木兎さん自身は自分のやる気スイッチの在り処を知っているのか。
さっき赤葦さんは私がスイッチを押したと言っていたが、そんなに簡単に入るものだろうか。もしそうだとしたら、次からは容易にスイッチを入れないようにしないと。私のせいで絶好調の木兎さんに烏野が負けましたなんてことにはさせたくない。
と訳の分からない事を考えている私がいました。
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実は赤葦君、一度ヒヨコちゃんの名字を聞いたけど、木兎さんが名前で呼びすぎるあまり、忘れていたりします。