夜は深い。
選手は寝ている人もいる時間帯。
私はマネージャー陣がいる教室で寝ようとしていた。私は一番端っこで、隣が仁花ちゃんだ。
「ねぇねぇ、こんな時こそ恋バナしない?」
生川高校マネージャーの英里さんが唐突に話題を提してきた。あまりの唐突さに少しあった眠気も吹き飛んでしまった。
「いいねいいね!」
梟谷の雀田さんもノッてきて、あれよあれよと言う間に、話題は恋バナ一色になってしまった。
「烏野ってしっかりしてるよね」
「分かる!キャプテンとかまさしくお父さんって感じ!」
「澤村は確かにしっかりしてるね」
潔子先輩の同意いただきました。
「菅原クンだったっけ、凄く優しそうな…あの、目の下に黒子がある」
「うん」
「あの人もいいと思う!」
先輩方でキャッキャと話が盛り上がっているようだ。
『仁花ちゃん、なんだか大人な世界だね』
「う、うん、そうだね。私にまだ早い」
仁花ちゃんと私は、話の展開の早さについていけない。話に入り込む隙もなく、ただただ聞いているだけだ。
「うちの赤葦も負けてないと思うけどな〜」
「あー、彼もしっかりしてるね」
「音駒って言ったらキャプテンの黒尾クンかな〜。」
「夜久クンって可愛くない?」
「うん!それ前から思ってた!」
すごい名前が出てくる出てくる。好きだとかそういうものではなくて、ただ単純に話の話題になっている。少なからず好意はあるんだろうけど、興味といった方が正しそうだ。
「みんなはどういう人がタイプ?」
その質問の答えは一度も考えたことがなかった。
「えっと、わわ、私は………」
次々と挙げられていく好みのタイプに焦りを感じてきた。もう順番が仁花ちゃんまできている。
潔子先輩の好みのタイプを聞けて安心していたが、それどころではないらしい。
仁花ちゃんは混乱している。私と同じような状態だったのだろう。仁花ちゃんは誤魔化しつつも優しい人だなんて可愛い回答を言っていて。今まで同じ答えは一つもなかったから、私も何か別の答えを言わなければいけないんだろう。
『わ、私は、えっと、…悪口を言わない人、とかありがとうとごめんねってちゃんと言える人がいいです!』
結局タイプはタイプに過ぎない。本当に好きになる人がそうとは限らないのだ。
「ほぅ〜、それは木兎でもいいってこと?」
『はい!』
「じゃあ赤葦は?」
『どちらも素敵だと思います』
何故か梟谷の2人のマネージャーさんに質問をされている。木兎さんと赤葦さんだったらどちらも好きになれそうだ。
「明日言ってあげよー」
『えぇ!』
「木兎、名前ちゃんのことすっごく褒めてたから、絶対喜ぶ」
『本当ですか!嬉しいなぁ』
木兎さんは純粋で凄い人なんだろうなぁ。話しているとこっちまで幸せになれちゃう。
「赤葦も珍しく女の子の話してたから気になっちゃうよね〜」
『え、赤葦さんって彼女いるんじゃないんですか?』
あのスマートな感じ、絶対いると思ってた。木兎さんにもいてもおかしくなさそうだけど、どうも彼の場合は、バレー一筋です!って感じがしたから、恋に時間を割くよりもバレーに時間を使う人だと思っている。
「いないいない!梟谷で彼女いるって言ったら、……待てよ、いた?」
「ん〜、いないかも」
「生川は2〜3人いるよ〜」
「森然は1人かな」
皆さん意外にも、彼女がいないらしい。
あんなに素敵な人が沢山いるのに、意外です!!