『あ、分かっちゃった……』
悩みに悩んだ末一つの答えにたどり着いた。これなら辻褄があう。
『飛雄君、好きな子いるんでしょ!』
「……!」
その表情からして図星だろう。赤葦さん、どうですか!名推理でしょう!
『そしてそれはマネージャーの中にいる』
「は!?な、何言ってんだよ」
『飛雄君ってば誤魔化さなくても大丈夫だよ。誰にも言わないから』
「だからちげーよ!」
「影山、もう諦めな」
他人の恋話はどうしてこうも青春って感じがするんだろう。往生際の悪い飛雄君を制す赤葦さん。年上感が溢れている。
『飛雄君、もしかしてカモフラージュに私の気になる人を聞いて、後々本命の気になる人を聞き出そうって魂胆でしょ!!』
「は?」
「え?」
これは我ながら名推理だ。飛雄君の分かりやすい反応からして、好きな人がいることは事実。私はただ一突きしただけだ。
「残念だけど違うみたいだよ」
『2回目も外れ!?…うーん、そっか。えと、じゃあ飛雄君の好きな人って誰なの?』
男性と恋バナをした事がないから新鮮だ。自分から話題を振ってみる。飛雄君はたまに難しい。
「言わねーよアホ!!」
『まさか潔子先輩!?だめ、先輩は皆んなのだから!』
「清水先輩じゃねーし」
『仁花ちゃん…?そうなのね…!』
「だからちげぇよ!!!」
「もうそこらへんにしておいてあげたら?」
耐えかねた赤葦先輩が割り込んでくる。確かにこのまま言い合っても不毛なだけだ。
『あ、先輩の意見を聞きたいんですけど、赤葦さんにはいるんですか?』
「……え?」
『好きな人ですよ〜』
赤葦さんが答えてくれたら、飛雄君だって次いで答えてくれる可能性があるとふみ、思い切って聞いてみた。
「好きな人は考えた事もないけど、可愛いと思う子はいるよ」
『…え!そうなんですか!それが恋に発展しちゃったりするんじゃないですか!?』
やはり他人の恋話は面白い。食い気味に聞いてみると、赤葦さんは笑った。
「そうかもね。でもライバルが多いから」
『えぇ!そんなにモテモテなんですか、その人!』
「モテモテっていうか可愛がられてるよ」
世の中にはやはりモテモテな人がいるらしい。羨ましいと通り越して神々しい。私には縁のない世界だ。一度お目にかかりたい。
「赤葦さん、それって…」
「そう、影山もライバルだ」
『一体何者なんですか………!』
衝撃の事実が次々と発覚していく。えぇ、凄い!!つまりマネージャーの中に超絶モテモテのお方がいらっしゃるという事ですか!?……ハッキリ言って皆さん可愛らしく、お美しいため検討がつかない。誰がモテてもなんらおかしくないのだ。
しかし潔子先輩はどちらかというと高嶺の花的な存在で、可愛がられるというよりは寧ろ崇められるの方が正しい気がする。
『でも2人とも彼女ができたら、一途に愛してくれそうです!』
2人なら浮気の心配はなさそうだ。逆にいい人すぎて誘惑が多そうだが、真っ直ぐに彼女さんの元へ駆け寄ってきてくれそうだ。
『飛雄君と赤葦さんの彼女さんは絶対幸せですね』
もし仮に、私が飛雄君や赤葦さんを好きだって言ったら、二人はどういう反応をしてくれるんだろう。
(あそこまで鈍いと、将来が心配だな)
(俺、負けないんで)
(うん。俺も)