私は夕ご飯の時間だというお知らせをしに第3体育館にやってきた。いるとしたら木兎さん、黒尾さん、赤葦さんと月島君だ。ふふふんと上機嫌に体育館に向かえば、ボールのバウンド音でもなくて話し声が聞こえてきた。
「やっぱ胸だろ」
「いや、尻だな」
「赤葦はどっち?」
「別にどっちでもいいんですけど」
聞いてはいけない話だろうか。いつ出ていけばいいか分からなくて固まる。よりによってこんなお話中に入っていける度胸がない。
「ツッキーは胸だよな!!」
「ツッキーこそ尻だろ」
繰り広げられる会話に頭がグルグルしてきた。これは聞いてはいけない会話だ。大人すぎてついていけないのもあるが、直感が逃げなさいと言っている。私は一瞬の判断によってその場から逃げ出した。
「あの、僕…別に興味ないんで」
「んなこと言って、実は興味あるんだろ。あの烏野のマネージャー3人いて意識しないわけないだろ」
「黒尾さん、アウトです」
一方で続けられる会話。名前が来ていた事など知らない。
「ツッキーのタイプは誰だ?」
「そんなのいませんけど」
「ほぅ、ツッキーはあのちっちゃい子がタイプと」
「勝手に予想するのやめてくれます?」
「つれねぇな」
「じゃあ、参考までに黒尾さんはあの3人の中から選べるんですか?」
赤葦が絡まれる後輩の月島を庇おうと、黒尾に質問をする。
「黒尾さんはどうせ清水サンでしょ」
「んー、まぁ確かにあの色っぽいマネもいいけど、可愛いのは名前チャンだよな」
「まじか!黒尾なら絶対眼鏡マネだと思った!!」
「んー、甘いね君たち。僕くらいになると、相性がわかるんです」
自信たっぷりに胸に手を当てる黒尾。
「一応聞きますけどなんのですか」
「全部です。性格も体も」
「………。」
「おい人がせっかく答えたのになんだその目は!」
「でも俺も名前だな!眼鏡ちゃんはライバル多そうだし、もう1人の小っちゃい子は喋った事ねぇし!!」
「木兎こそ眼鏡マネだと思ったわ」
「なんつーか、名前と話したらビビっときたわけよ。もしかして、俺も……相性が分かるのか!?」
「分かりませんよ、ありえません」
バッサリと突っ込む赤葦に賛同したくなる月島。
「けど、名前って木兎さんと何処となく似てますよね」
「木兎は同族嫌悪するタイプじゃねーもんな。」
「赤葦は?」
「俺は…」
「木兎、赤葦は聞く前から決まってんだろ〜」
「なんだと!?誰だよ!」
「誰でもいいじゃないですか」
「ほぉ〜、その反応、いるんだな」
ニヤニヤと笑う黒尾をうっとうしいと言うように顔をしかめる赤葦。
「いたとしても言いませんよ」
「へいへい。ま、大体分かるけどな」
「てことで月島、名前ちゃんくれ」
「やですよ」
「おやおや〜ツッキーもまさか〜?」
話はこれから更に盛り上がろうとしていた。
「あの〜、早く行かないと食堂閉まっちゃいますよ」
「やっべ、もうそんな時間か!」
そこへ梟谷のマネージャーである雪絵が第三体育館にやってきた。そして爆弾を落としていったのだ。
「というか名前ちゃん呼びに来ませんでした?」
「………!」
そして4人は察した。この話を聞かれていたという可能性があること。実際聞いていたのは最初の部分だけだったという事を知らない4人は、次の日どういう顔で会えば良いか分からなかったと言います。特に木兎と黒尾は自分の発言を思い出して冷や汗を流したらしい。
次の日ケロッとした名前が話しかけてくれて、聞かれていなかったと感じた4人がいたとかいないとか。