ひよこが駆け巡る!





合宿最終日

3勝61敗という驚異的なスコアで、負け通しの練習試合だったけれど、収穫はあった。例えば合宿の間に飛雄君と翔陽君の仲は格段によくなったこととか。しかし2人が復活しても勝ち越せないままだ。

最終日ともなれば、疲労はかなり大きいはず。しかし、澤村先輩の一言で大きく状況は覆されることになる。

「これは…偶然聞いた話だから黙っておくべきかと思ったんだが…」
「な…何スか…!?」
「この練習試合が終わったら……」
『終わったら……?』

次の言葉を固唾を飲んで待つ。

「監督達のオゴリでバーベキューらしいぞ…」

「B」
「B」
「Qーッ!!?」


田中先輩西谷先輩、翔陽君の順番で発せられた言葉。そして次の瞬間には、3人とも踊り、歌い始めた。

「お肉肉肉、お肉肉!合わせて肉肉、お肉肉!」
「お肉万歳、元気百倍、フゥッフゥーッ!」

元気になったようで何よりだ。飛雄君もつられてヨダレを出してる。よっぽど食べたいんだろう。みんなのモチベーションが上がるのを明確に感じた。

「よーしお前等!」

浮き足立っているところに、烏養コーチの凛とした声が響き渡る。

「とにかく、お前等がやろうとしている新しいこと一発でも気持ち良く決めて来い」
「オス!!」
「あとは毎回言ってるが梟谷の4番に気持ち良く打たせるてやるな」
「_ハイ」
「ッス!」

コーチがニカっと笑う。相手の4番とは木兎さんのことである。そして一気に皆の闘志が燃え出す。


「…結局罰三昧の合宿だけど、最初の遠征から比べたら皆何かしら変わってるはずだ…ここらで一発気持ち良く勝ってウマイ肉を食おうぜ!」
「おおっしゃあああ!!!」

『皆すごい元気になりましたね!』
「これぞ烏野って感じがするね!!」
「ふふ、そうだね」

生き生きとした皆の姿をみて、私まで力をもらった気がする。大好きな皆の為にもっと、もっと私も頑張りたい。食べ物につられちゃう単純な所も、仲のいい所も、信じあっている強さも、全部全部含めて大好きな烏野。

今こそこんな烏野の底力見せてやりますとも!!

「…ヒヨコ」
『ん?』

月島君が静かに話しかけてくる。BBQの事を考えて、他の皆はヨダレを垂らしているのに、月島君はいつもと変わらない。

「……ちゃんと見ててよ」

少し間を空けて放たれた言葉は、前の月島君からしたらあり得ない言葉。だけど、私にとっては嬉しすぎる言葉だった。

『うん……、うん!』

私は、はっきり彼の目を見て返事をした。やっぱりバレーって凄い。人の気持ちをこんなにも豊かにしてくれる。

どうか、満足のいく試合をしてくれますように。

これが合宿最後の試合だ。

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