楽しすぎたBBQも終わり、もうお別れの時だ。1週間しか一緒にいなかったのに、今までずっと一緒にいたみたいに仲良くなれた。誰かとの出会いは、自分の知らなかった感情を呼び覚ましてくれる。
そして訪れる黒尾さんと研磨さんとの別れ。烏野のみんなも、それぞれ誰かとの別れを惜しんでいる。例えば、翔陽君はリエーフ君と犬岡君だ。
「名前チャン、帰っちゃうんだな〜」
黒尾さんは私の頭をいつもより優しく撫でてくれる。
『はい、あっという間でした。寂しい、です…』
私は研磨さんと黒尾さんを交互に見る。もう暫く会えないと思うと寂しくて仕方がない。
「本気で悲しそうな顔されると、引き止めたくなるな。」
「クロが言うと変態みたい」
「何を言うのかな研磨君」
こんな絡みももう見れなくなっちゃうんだ。2人を見て、合宿中の思い出が呼び覚まされる。
「まぁ、…またごみ捨て場の決戦やろうぜ」
今回の東京遠征の中では、音駒の方々との付き合いが一番長い。何よりこの遠征に誘ってくれたのは紛れもない音駒の猫又監督だ。誘ってくれなければこんな機会を得ることなんて絶対できなかった。本当に貴重な機会をもらったんだ。
『………はい!』
「待ってるぜ、東京の体育館で」
『絶対に行きます!』
さっきまであんなに悲しい気持ちでいたのに、今は晴れやかだ。こんな言葉をかけられて、盛り上がるなという方が酷だ。
「俺的には、バレーが関係してなくても来て欲しいけどな。な、研磨」
「…なんで俺にふるの?」
「研磨君もそう思ってるんじゃないかなーと思いまして」
『そう思ってくれてるんだったら嬉しいです〜!』
「…待ってるよ」
研磨さんがシンプルに返事をしてくれた。私は笑顔で頷き返した。
これは予選で負けるわけにはいかない。
しかし、宮城県の予選大会は楽ではない。数々の強豪が、全国行きの切符の前に立ちはだかる。伊達工業、青葉城西、そして若利君率いる白鳥沢だ。一筋縄ではいかない戦いになることは目に見えている。また、今あげたチーム以外にも並々ならぬ強豪が待ち受けていることは間違いない。
しかし、私たちだって弱くない。十分に勝つ技術を身に着けてきた。烏野にいると、本当にチームで一丸となって目標に向かっているって感じがする。他の誰でもない、烏野のみんなと感情を分かち合いたい。嬉しい時も、悲しい時もみんなと共有したい。
そして、烏野にいると、みんなとの心からの勝利を渇望してしまうんだ。私はなんてすばらしいチームの下で応援ができるんだろう。私は小さく幸せを噛み締めた。