ひよこが駆け巡る!





そして、黒尾さんと研磨さんと話していると、木兎さんと赤葦さんもやってきた。

「名前もう帰るのか!!」
『はい、短い間でしたが、お世話になりました!とっても、楽しかったです!』
「俺も楽しかったぞーーー!」
「寂しくなるよ」

木兎さんと赤葦さんも別れを惜しんでくれているようだった。誰とでも別れは寂しい。だけど特にこの4人は特別寂しい。この合宿で特別良くしてくれた人たちだ。

『皆さんと…また、会いたいです。だから、全国大会に来られるように頑張ります!!』

何度も言うが、戦うのは私ではないことは分かっているつもりだ。しかし、私も同じ気持ちで戦っているのだという点では、立派なチームの一員だ。

「おう!絶対こいよ!!!」
『もし、来ることができたら、真っ先に皆さんの所に走っていきます』
「じゃあ、一番目は俺で」
「いや、最初は俺だろ!?」

はじめに黒尾さんが名乗りを上げてくれた。次に木兎さんだ。その様子を呆れながら見ている研磨さんと赤葦さん。もはやどちらが年上か分からない。

『じゃあ、最初に見つけた人の所に行きます!』

誰になるか分からないが、多分暫く会えなかった反動で、突進していってしまうかもしれない。

『…なんて、まだ春高に行けるって決まってわけじゃないんですけど』

今回の合宿で得た経験を、本番で活かせるといいんだけど…。さっきまで威勢よく話していたが急に心配になってしまった。

「名前、そろそろ行くぞ」


背後(しかもわりと近い)から飛雄君の声が聞こえてくる。そうか、ずいぶん話し込んでしまったが、もうバス時間か。私は再び4人の方を向いて、強気な表情を見せた。


『皆さん、本当にありがとうございました!』
「おう、気をつけてな」
「そうだぞ、家に帰るまでが合宿だからな!」
『はい!』

木兎さんが先生みたいなことを言う。帰るまでが遠足ですからね、的な感じだ。私は急いでバスに戻ろうと振り返った。すると、後ろでは飛雄君と赤葦さんが向き合っていた。


「俺の方がちょっと不利だけど、それでも負けないから」
「俺も、赤葦さんにも、誰にも負けるつもりありません」

なんてこった……。いつのまにか2人がこんな関係になっていたなんて。同じセッターだから、負けたくないという思いが強いんだろうか。

私は2人がバレー関係のことでライバル心を燃やしていたのではないと知らず、ただただ感心していた。

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