練習試合も全て終わり、青城の体育館を後にしようとした時。
『グヘッウ』
救急箱を急いでバスに乗せるべく外を走っていると、角で誰かと正面衝突してしまった。その際に女子として出してはいけない声を出してしまった。もっとキャッとか可愛らしい声があっただろうに、グヘッウって…。ぶつかった衝撃よりも、自分の女の子らしくなさに衝撃を受けた。
正面衝突と言ったが、飛んだのは私の方ばかりで、相手は一切飛ばされなかった。それもそのはず相手は男子だ。ましてや、今相手の姿を確認したけど彼はラッキョウさんだ。体格差は全く違う。私のようなチビはすぐに飛ばされてしまうだろう。
『ラ、ラッキ……、大丈夫ですか!?』
「(ラッキ…?)あぁ、お前こそ随分飛んだけど大丈夫か?」
『私なんてなんのそのです!』
「…ック、なんだそれ。まぁ悪かったな」
『いえ、こちらこそぶつかっちゃってごめんなさい』
さっきラッキョウと本人の前で言いかけたけど、途中でなんとか止めることが出来た。あまりにも失礼すぎる。
「あと、俺ラッキョウじゃなくて金田一。金田一勇太郎。お前は?」
な、なんですと!バレていましたか!彼にとっての私は失礼人間決定だ。大変申し訳ない。
『私は苗字名前です。金田一さんて何年生の方ですか?』
ここで同い年じゃなかったらいけないので、恐る恐る敬語で聞く。
「俺は1年だけど」
『私も1年!』
「そんじゃタメだな」
どうやら年上に見えた金田一君は同い年らしい。凛々しい顔をしていて真面目そう。あと、一途で真っ直ぐそう。これはあくまで推測にしかすぎないけど、金田一君は悪い人じゃなさそうだ。勝手に心の中でラッキョウさんと呼んでいた私を殴りたい。
『そうだね。あ、そろそろ行かなきゃ。じゃあまたね、ラッキ…、金田一君!』
「まだラッキョウ言うのか!」
素早いツッコミに思わず拍手をしてしまった。もういっそラッ金田一君と呼んだ方がいい気がしてきた。出会ったばかりの人に変なあだ名つけるのも変な話だが。
同じ一年生同士、これからも仲良くできる気がする。