ラッ金田一君(仮)と別れて、烏野バレー部の部員と合流した。影山君と翔陽君はどこに行ったのか分からないが、まだ帰ってきていなかった。
『潔子先輩、他の荷物バスの中に積んじゃいますね』
「分かった、お願いするね」
麗しの潔子先輩に一言言ってから、ここから遠めの場所に停められているバスに向かう。えいさほいさと小走りで向かう途中、校門前に寄りかかる人影を発見。多分青城の生徒だ。
遠くから見ても分かるほどの長身。近づくにつれて明らかになるその澄まし顔。
えっと、及川さん、だったかな。近くで見てみてもやはりすごく顔が整っている。
「あれ〜、もしかしてさっき会った烏野の1年マネちゃん?」
私の事ご存知でいらっしゃいますか!正直、相手選手は潔子先輩しか眼中にないと思っていました。いや〜、嬉しいものです。
『は、はい。及川さん…ですよね?』
「そうだよ。もう名前覚えてくれてるんだ」
『もちろんです!及川さんは素敵な人ですから』
あと、あれだけ女子にキャーキャー言われてたら普通は気がつきます。今は、応援に来ていた女の子たちが帰ってしまっているから、及川さんの周りには誰もいない。
「ねぇねぇ。突然で悪いんだけどさ…、俺の事お兄ちゃんって呼んでみてくれない?」
『お兄ちゃん?』
「そう、お兄ちゃんって。一回だけでいいから」
私はお願いされたら断れない性質がある。よっぽど無理難題を言われない限りはすべてやろうとしてしまう。今回もまた然りだろう。
『分かりました。……お、お兄ちゃん』
「………!」
急に言われてビックリしたけど、お兄ちゃんと言うだけなら朝飯前だ。少し照れながら及川さんを見ると、大きな片手を口元に当てていた。口角は若干上がっている。
「俺、こんな妹欲しかった〜!」
『わっ、及川さん?』
そして及川さんに、子犬を扱うように頭をなで繰り回される。グイグイくるなこの人!そしてなかなかやめてくれない。
「及川さん、そいつを離してやってください」
『影山くーーん!』
「あ、トビオちゃん。」
及川さんになで繰り回されていた所を助けてくれた救世主の影山君。あまり及川さんとは関わりたくなさそうだった影山君が、こうして話しかけている。そのきっかけを作ったのは私だ。ごめん…、そしてありがとう!私の中で影山君のいい人メーターがまた上がった。
そして、影山君と同時に現れたのは…、
「おい、クズ川…。何やってるんだ……」
青城のジャージを着た、つり目のツンツン頭さんでした。