ひよこが駆け巡る!





烏野にとっての2回戦目の試合の対戦相手が決まった。

なんと2mの身長をもつ選手がいる角川高校だ。
その選手は、遠くから見ても十分に威圧感がある。私が隣に並んだら完璧子供だ。


「うぅ…2mでっけぇなあ」
「201cmと162cmか」
「!」

これは翔陽君と2mの選手との身長差である。数字に表すと余計に身長差を痛感させられる。明らかに分が悪い。

「四捨五入すれば俺は163cmです!」
「201cmと162cm…約40cm差か…」
「聞けよ!」

翔陽君より40cm大きいって…、てことは私より40cm以上も大きいって事になる。それは並んだ時に親子と間違われてもおかしくないな。

「よっ、40cmなんてキーティちゃんと同じサイズだよ!そんなに大きくないよ!」


と、そこへ仁花ちゃんのフォローが入る。キーティちゃんはとても可愛いが、40cmとなると結構大きいような。いや、仁花ちゃんの言う通り案外そうでもないのかもしれない。

「テカチュウも確か40cm」
「フジクジラも」

月島君も珍しく乗ってきてくれた。ところでフジクジラってなんですか??

『フジクジラ?』
「なにそれ!」
「サメの一種」
「おおおっ…!」
「ツッキー博識!」

せっかく教えてくれたフジクジラ君の事を忘れないでおこう。そして後で画像検索しよう。

「おれ、…フジクジラと合体したい」
「は?」

40cmトークで盛り上がっている月島君と山口君と仁花ちゃんの傍らで、翔陽君がなんとも言えない表情で視線を宙に迷わせていた。こ、これは、完全に悟りをひらいている…!?

「フジクジラと合体すればおれは2mだから…」
「おい何を言っている」

飛雄君に冷静に突っ込まれる翔陽君。翔陽君は今、正常な思考回路をしていない。

『それはダメ!え、えっと、私の身長あげるから!』

フジクジラ翔陽を想像してみたが、可愛いが、バレーをするには不便そうだ。

「ぷっ、そしたら苗字の身長が小さくなっちゃうだろ」

菅原先輩の的確なコメントに冷静さを取り戻した。私の方こそ冷静な判断をすることができていなかった。翔陽君に40cmあげたら、それこそ小学低学年並みの身長になってしまう。

『ですよね、え、あ、じゃあどうしよう…』
「今更身長なんて変えられないんだから、考えても無駄デショ」
『それもそうなんだけど…、あぁ!私が翔陽と合体すればいいんじゃ……!』
「それはダメでしょ」
「それはダメだ」
「それはやめとけ」
『えぇ…!』

息ぴったりの月島君、飛雄君、菅原先輩に突っ込みを入れられる。ダメかぁ。しょぼんとしていると、突然澤村先輩が立ち上がった。そろそろ次の試合の時間らしい。


「よし、行くぞ!」

澤村先輩の勇ましい掛け声で、アリーナに入っていく選手たち。その背中は心なしかいつもより逞しく見える。

いざ、2mとの対戦だ。

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