ひよこが駆け巡る!





「おい、クズ川…。何やってるんだ……」

よく分からないけどこのツンツンさんも助けに来てくれたみたい。いや、助けに来たというよりも、及川さんにガン飛ばしに来た…、という感じだ。

「だって、この子ヒヨコみたいで可愛いんだもーん」
「だもんじゃねーよ!早く離してやれって」

私どんだけヒヨコに見られてるんですか。確かに歩き方がヨチヨチしてるとか、オーラがフワフワしてるとか言われたことはありますけど、よりによってヒヨコですか。もっとウサギとかリスとかそういう可愛い生き物が良かった。…でも良く考えればヒヨコも可愛いよね。モフモフしてて小さくて。

「確かにそいつはヒヨコですけど、…多分困ってるんで」

影山君までヒヨコだと思っていたなんて。私のどこらへんが特にヒヨコに見えてるんだろう。体?雰囲気?もしかして全部!?

「えぇ〜そうかな?」
「そうかなじゃねーよ!他校のマネージャーにまで手を出すな!」
「イダッ!!岩ちゃんは加減を知らないのかな!?」
「あぁ、知らないな。お前限定でな」
「理不尽!」

目の前でテンポの良い漫才でも繰り広げられている感じ。思わず笑ってしまいそうになる。

「なんだコラ、やんのかコラ」
「何の用だ!やんのかぁコラァ」


そこへ翔陽君と田中先輩の参入!二人してガン飛ばしてる。その中でも田中先輩のガン飛ばしは本格的すぎて怖い。翔陽君のはまだ慣れていない人がやっている感じで少し可愛い。

「そんな邪険にしないでよ〜。ちゃんと離してあげるから〜」
「当たり前だ!」

言ったのと同時に頭に乗っていた手が無くなった。ツンツンさんに一礼してから、みんなのいる方へ歩く。そういえば私まだツンツンさんの名前を聞いてないんだけど、名前なんていうんだろう。後で機会があったら聞いてみようかな。そういえばさっき岩ちゃんって呼ばれてたけど、岩男さんとかそういう名前なのだろうか。


「大会まで時間はない。どうするのか楽しみにしてるね。あ、じゃーねヒヨコちゃん」

背を向けて、ヒラヒラと手を振っている。私は唖然として見るしかなかった。名前っていう名前あるんだけどなぁ。そうして嵐みたいに去って行った及川さん。そして第二の救世主である、名前も知らないツンツンさんも及川さんとともに校内へ戻っていった。


「おっしゃー、頑張ってあの優男を倒すぞ!日向ぁ!!」
「はい、田中先輩!!」

でも、及川さんの最後の言葉が、烏野の選手を刺激したみたいです。


(ヒヨコちゃん可愛いかったなー。またお兄ちゃんって呼んでもらおっと)
(お前…、お兄ちゃんって呼ばせたのか)
(何、その軽蔑の眼差しは!)
(うっせぇキモ川)
(キモくはないかな!?)

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