とある日の夜。
月島君と一緒に帰る機会があった。別に毎日一緒に帰っているわけではなく、本当に偶々だった。
彼は最近、社会人チームに混ざって練習しているらしい。最近の月島君は、本当に生き生きしている気がする。
バレーに対して前向きになって、すごく輝いて見える。
その事を今日は伝えたい。
『私、最近の月島君、すっごく素敵だなって思うよ』
「何、急に」
暗い夜道を歩きながら、言葉を紡ぎ出す。月島君の歩幅は大きいから、私が普通に歩いていても追いつけない。いつもは歩速が合わないから苦労するけど、今日はゆっくりだった。
突然私に言われて、引いた素振りを見せた。確かに急すぎた。
『前みたいに、プレーに迷いがないし、バレーと真っ直ぐ向き合ってる感じがする。今まで見てきた月島君の中で、今の月島君が一番好き』
なんて端から聞いたら告白紛いなセリフも、彼の前だと言えた。きっと察しのいい月島君なら、私が言いたい事を分かってくれているはずだ。
「ふーん、……そう。」
こんな月島君の照れ隠しにも気づくようになった。着実に仲間になれてるんだと思うと、とても嬉しくなった。今は嬉しい以外の感情はない。
「…なんで」
『………?』
「なんでひよこはいつもそんなに真っ直ぐなの」
月島君が私の目を真っ直ぐ見つめてきた。私もその目から逸らせなかった。
「いつも僕ばっかり振り回される」
『私が真っ直ぐかどうかは分からないけど、一生懸命頑張ってる人には、私も真正面から向き合いたいと思ってるよ』
今日最大級の笑顔を見せる。見上げなきゃ見ることのできない月島君の表情は、やはり照れているような気がした。
「僕、ひよこみたいに真っ直ぐになれない」
『え?』
「……なんでもない」
小さすぎた声は少しだけ私の耳へ届く。私が真っ直ぐだという自覚はない。でも、ここまで言われると、そうなんじゃないかという自惚れも出てきてしまう。でも私は今の月島君が好きだという事には変わりない。
『例え真っすぐじゃないとしても、月島君らしい方がいいに決まってる!』
自信をもってそう伝えると、月島君は困ったように微かに笑った。こんな表情、滅多にみたことがない。困っているのに、どこか嬉しそうで、正直反応に困った。いつもは、黙って、とかうるさいとか一蹴されるのに、今日の言葉は受け入れてくれた。彼は私を仲間だと認めてくれているのだろうか。もし、仲間だと認識してもらえているなら、こんなに嬉しいことはないだろう。
(僕は君のその常に真っすぐなところが羨ましい)