『うわぁ、素敵〜』
プロバレーボーラーになり、早4年が経過した。結婚を意識して、つい最近同棲を始めた彼女は、すっかりテレビに夢中だ。今、彼女が見ているのは最近はやりの恋愛ドラマだ。普段あまりドラマを見ない俺でもその名前は知っていた。
人がハードな練習で疲れて帰ってきたというのに、おかえりなさいと言ったきり、俺の方に見向きもしない。それどころか、画面の中の別の男に対して、恍惚な眼差しを向けている。最近全くしてくれない熱烈なハグを、家のクッションに対してしているのを見て、表情が硬くなるのを感じた。
面白くない。
相手は会うことなんて叶わない男とは言え、全くもって面白くない。そもそも俺の方がかっこええやろ。
「今日の晩飯なに?」
『今日はハンバーグだよ〜』
しびれを切らして話しかけてみると、テレビから視線をこちらに向けて笑顔を向けてくれた。それに思いがけず癒される。これやこれ、俺が求めてたんは。
『もう食べる?』
「おん。腹減ったわ」
『あとちょっとでこのドラマ終わるから、もう少し待ってくれる?』
せっかく名前とまったりした夜を過ごそうと思っていた矢先にこれだ。それは俺よりも優先しなければならないものか。
「……これ、そんなに面白いん?」
『うん!もどかしくて、とてもキュンキュンするの』
「ほーん」
『なんといっても、主人公の幼馴染がかっこよくて。あ、今映ってる人が主人公の俳優さんなんだけど、最近ドラマに引っ張りだこで、今度は映画の主演も決まってるんだよ』
饒舌に語る彼女の目が完全にハートになっている。俺と言う存在がありながらこの態度。信じられない。
「俺よりも?」
『え、えっと?』
「俺よりもかっこええ?」
これはハッキリとさせておかなければならない。どの世界に他の男を褒めまくる彼女を平然と見ていられる男がおんねん。俺の問いかけのおかげでドラマに集中できなくなったのか、固まってしまった名前の目を見つめる。
『…あ、侑よりかっこいい人は、多分どこ探しても、いないと、思います、よ?』
それは普通だったら聞き取れないような小さな声だったが、俺の耳には一字一句漏らさずに聞こえた。
『あ、あぁ〜、私もなんかお腹すいてきちゃったなぁ〜。ご飯食べよう!』
「言い逃げ許さんで」
『うわぁ』
誤魔化すように逃げる彼女を逃がさんとばかりに、逃げる腕を引き寄せて、ぐっと後ろから抱きしめた。
「俺んこと好きか?」
『ち、近い…!』
「好きか?」
ささやくような声。
そんな俺の言葉に無言で頷いた彼女。後ろで抱きしめられている彼女の雰囲気が更に甘さを帯びたのが分かった。
「俺も、めっちゃ好きやで」
『ふふ』
更に強く抱きしめると、苦しいと言いながら名前は笑った。俺の腕に猫のようにすり寄ってくる愛しい彼女が、嫁になるのもそう遠くない未来かもしれない。
ねね様リクエスト
宮侑 他の男子へ嫉妬